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2011 年度 実施状況報告書

ヘッジホッグ受容体細胞質ドメインの核内移行による新規発癌抑制経路の挑戦的解明

研究課題

研究課題/領域番号 23657135
研究機関首都大学東京

研究代表者

川原 裕之  首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (70291151)

研究分担者 横田 直人  首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (40610564)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードPatched1 / GLI / ヘッジホッグ / ユビキチン / プロテアソーム / 蛋白質品質管理
研究概要

Patchedは、細胞の増殖と分化をコントロールする12回膜貫通型のヘッジホッグレセプターである。その機能不全はヒト癌原性を誘導することが知られていたが、細胞膜上でのリガンド受容情報が機能発現の場である核内にどのように伝達されるかについては充分な理解はされていなかった。我々は最近、Patched のC末端第7細胞質ドメインが特異的プロセシングを受け、生じた断片が核内に移行し癌原性転写因子を不活性化していること、断片の代謝調節系により発癌誘導がコントロールされうることを世界で初めて明らかにした。本研究では、Patched第7細胞質ドメインの(1)プロセシング機構、(2)核移行と転写調節作用、(3)発癌性の鍵を握る代謝的安定性の制御機構、の3点に注目した解明を進め、ヘッジホッグ経路を介した細胞機能制御の新しいパラダイムを確立することを最終目的に解析を進めている。初年度にあたる2011年度においては、これまで我々が蓄積した知見や技術的ノウハウ、さらに各種レコンビナント蛋白質、一連の変異体遺伝子・抗体などの研究資産を用いて、Patched1の細胞質ドメインの構造と機能の解析を進めた。その結果、Patched第7細胞質ドメインの切断を一部阻害する化学物質の同定に成功した。さらに、Patched第7細胞質ドメインの翻訳後修飾の実体を明らかにしつつある。また、Patched1の細胞質ドメインに対する新規結合タンパク質(複数)の同定などに成功した。さらに、Patched第7細胞質ドメインをドキシサイクリン存在下で、適切な量を発現させる事により、Patched第7細胞質ドメインの核局在を人工誘導すること、それにより下流の転写因子の局在と転写活性を制御する全く新しい制御システムを新しく見いだした。これらの成果は、Patched1の細胞質ドメインを介した第7細胞質フラグメントの生理的意義解明の一歩となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究により、Patched第7細胞質ドメインを一部阻害する化学物質の同定に成功した他、Patched第7細胞質ドメインの翻訳後修飾の実体解明するなど当初計画を順調に消化している。さらに、Patched第7細胞質ドメインに対する新規結合タンパク質を複数同定などに成功したことなど、当初の予定を上回る成果を挙げつつある。同時に、Patched第7細胞質ドメインに関する我々の成果を、本年、国際学術雑誌に公表することができたため、「当初の計画以上に進展している」と評価する。引き続き、Patched第7細胞質ドメインに関する挑戦的な実験を展開していく予定である。

今後の研究の推進方策

当初の研究実施計画に従って、 Patched第7細胞質フラグメントのプロセシングメカニズムの全貌解明、 第7細胞質フラグメントの核移行とその生理的意義の解明、 新規同定した結合蛋白質複合体による核内反応制御の全貌解明、Patched第7細胞質フラグメントの新規核内ターゲットの同定、 ユビキチン系によるPatched第7細胞質フラグメントの代謝メカニズムに挑む。これらの研究によって、 第7細胞質フラグメントの代謝系をターゲットにした細胞癌化の新規抑圧法開拓に挑戦する。

次年度の研究費の使用計画

研究実施計画に鑑み、本研究の遂行に必要な試薬.プラスチック器具などの実験用消耗品の購入に大部分の経費を充てる計画である。また、本研究の進展を積極的に、論文公表や学会発表にて公開する事を目指し、そのために必要な旅費や論文出版経費に充当する計画である。なお、2011年度においては、全年度から持ち越した研究試薬や研究機器を無駄なく活用できた事、ならびに関連する蛋白質品質管理研究プロジェクトを本プロジェクトと適切に組み合わせたことなどから、物品の購入金額は少額に留まったが、本研究実験は積極的に実施・展開されたことを申し添える。2012年度においても、繰り越した金額を含めて、有効に本助成金を活用する計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A novel signaling pathway mediated by the nuclear targeting of C-terminal fragments of mammalian Patched 1.2011

    • 著者名/発表者名
      Kagawa, H.,, Shino, Y., Kobayashi, D., Demizu, S., Shimada. M., Ariga, H. and Kawahara, H.
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 6 ページ: -

    • DOI

      doi:10.1371/journal.pone.0018638

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒトヘッジホッグレセプターPatched1はC末端細胞質ドメインでプロセシングを受ける

    • 著者名/発表者名
      志野優佳、賀川裕貴、小林大悟、出水俊輔、川原裕之
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011年9月23日
  • [学会発表] The C-terminal tail of human Patched1 is phosphorylated by Protein kinase C

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Egawa,Hiroki Kagawa,Hiroyuki Kawahara
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011年12月15日
  • [学会発表] 新規Patched1 結合タンパク質を介した癌原性転写因子Gli1の調節機構

    • 著者名/発表者名
      岩崎 茜,賀川 裕貴,川原 裕之
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011年12月15日
  • [学会発表] ヘッジホッグレセプターPatched1の細胞質ドメインに結合する新規タンパク質の同定と機能解析

    • 著者名/発表者名
      玉木 悠介,出水 俊輔,賀川 裕貴,横田 直人,延 優子,田岡 万悟,礒辺 俊明,川原 裕之
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011年12月15日
  • [学会発表] Patched 1 細胞質断片の核移行メカニズムとその意義の解明

    • 著者名/発表者名
      出水 俊輔,川原 裕之
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011年12月15日
  • [図書] 実験医学、第29巻、7月増刊号「細胞内のリノベーション機構:タンパク質分解系による生体制御」2011

    • 著者名/発表者名
      川原裕之, 南亮介
    • 総ページ数
      6頁(121-126ページ)
    • 出版者
      羊土社
  • [備考]

    • URL

      http://www.biol.se.tmu.ac.jp/labo.asp?ID=celche

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公開日: 2013-07-10  

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