脊椎動物の腎臓は、恒常性維持にかかわる重要な器官であり、その多くの機能は尿細管を構成する上皮細胞が担っている。ヒトやマウスにみられる多発性嚢胞腎(PKD)は、原尿の流れという機械刺激の受容機構の異常に起因する遺伝性疾患であり、尿細管や集合管の上皮細胞の増殖や扁平化によって生じることが報告されている。我々は、PKDを発症するメダカ突然変異体kintoun(ktu)を用いた実験発生学的解析を行い、魚類の尿細管上皮細胞に生えている運動性繊毛が細胞自律的な嚢胞形成に関与する可能性を明らかにした。さらに、Ktuタンパク質と相互作用する分子の中で、機能阻害によってPKDを発症するものを新たに見出した。
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