研究課題
疾患特異的iPS細胞研究を行うためには、適切な表現型を持つiPS細胞クローンを適切な数だけ樹立しなければならない。従来の方法では多数の患者さんからiPS細胞株を樹立することが労力的に困難であったり、数百万個以上の繊維芽細胞から数クローンを選択するため、適切な表現型や分化特性を示す細胞を取りもらしたりする可能性がある。そこで本研究では、疾患特異的iPS細胞研究の促進のため、樹立iPS細胞のクローニングを行う前に適切な分化能をもった機能的なクローンを取りもらしなく選ぶ方法を開発することを目的とし、以下の5ステップの実験を行う。ヒトES/iPS細胞を用いた、セカンダリiPSシステムを確立し、セカンダリiPSシステムを用いて、クローニングなしでiPS細胞の培養を行う。こららの細胞を血球系細胞に分化させ、血球系前駆細胞に分化した細胞だけをソートして、そこからiPS細胞を誘導する。セカンダリiPS細胞システムに必要なベクターの作成と、血球分化系の整備を行った。ヒトで薬剤誘導性に山中4因子を発現するベクターを作成した。また、血球分化系の分化段階を詳細に解析する必要があるため、モデルとして、ヒトiPS細胞からヘマンギオブラスト、血球系前駆細胞を経て単球、マクロファージ、樹状細胞へと分化する系を新規に開発した。続いて、このベクタをTALENシステムを用いてAAVS1サイトへ導入すべく、新規TALENペアと相同組み替え用のコンストラクトを作製した。TALENペアが良好に目的の部位を切断することを確認した。現在このベクタをiPSCに導入し、相同組み替えクローンを回収中である。すでに幾つか同様の概念でiPS細胞を樹立している報告があるが、全てプライマリ細胞からの樹立に留まっているため、引き続き相同組み替えiPS細胞をこの系で分化させ、セカンダリiPS細胞を各分化段階で作成していく予定である。
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