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2012 年度 実績報告書

エネルギー代謝の網羅的定量化・可視化による競合する死細胞―生細胞間相互作用の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23657150
研究機関早稲田大学

研究代表者

松田 七美  早稲田大学, 先端科学健康医療融合研究機構, 准教授 (70360641)

キーワード細胞競合 / エネルギー代謝 / Myc / p53 / ショウジョウバエ
研究概要

細胞競合とは、多細胞生物の器官において、増殖が速く生存能の高い細胞群(勝ち組)が、増殖が遅く細胞死によって排除される細胞群(負け組)に競合し、細胞の増殖、細胞死、周期、分化などが統合的に制御されることにより、一定の大きさと機能をもつ器官・組織が形成される現象である。申請者は、ショウジョウバエの翅原基、及び培養細胞株を用いて独自のin vivo 、及びin vitroモデルを確立し、がん遺伝子c-MycのショウジョウバエホモログdMycにより細胞競合が制御されることを明らかにした(de la Cova et al., Cell 117, 2004; 松田, Proc Natl Acad Sci USA 104, 2007)。これらのモデルを用いた予備的解析から、勝ち組、あるいは負け組となるそれぞれの細胞群の運命決定に、エネルギー代謝変化が関わることを見いだした。
そこで本研究課題では、細胞競合が生じる際の勝ち組細胞(生細胞)-負け組細胞(死にゆく細胞‘死細胞’)間の運命決定に関わる相互作用と代謝調節機構の詳細を明らかにすることを目的として、上記の細胞競合モデルにおいて、トランスクリプトーム解析、及びメタボローム解析の手法を用いて、エネルギー代謝ステータスを網羅的定量化することより解析を行った。
その結果、dMycにより制御される細胞競合モデルにおいて、勝ち組、あるいは負け組となる細胞群の運命決定に、dMycとp53が協調的に制御するエネルギー代謝が関わることを見いだした。興味深いことに、p53を機能欠失させると、勝ち組と負け組の代謝ステータスが逆転し、それぞれの細胞運命が逆転する。このような競合条件下で勝ち組、あるいは負け組となる細胞が相互作用し、互いを認識し、細胞非自立的に細胞特性を変化させる仕組みに、好気的な糖代謝の亢進が関わることを明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] HIF-1α induction suppresses excessive lipid accumulation in alcoholic fatty liver in mice.2012

    • 著者名/発表者名
      Yasumasa Nishiyama, Nobuhito Goda, Mai Kanai, Daisuke Niwa, Kota Osanai, You Yamamoto, Nanami Senoo-Matsuda, Randall S. Johnson, Soichiro Miura, Yasuaki Kabe, and Makoto Suematsu
    • 雑誌名

      J. Hepatology

      巻: 56 ページ: 441-447

    • DOI

      doi:10.1016/j.jhep.2011.07.024

  • [学会発表] ショウジョウバエモデルを用いたSima/HIF-1αシグナルによる個体の発生と老化の制御機構の解析2012

    • 著者名/発表者名
      平本美香子、大野貴久、合田亘人、松田七美
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121214-20121216
  • [学会発表] エネルギー代謝制御を介した競合する細胞における細胞間相互作用と細胞運命決定の分子機構2012

    • 著者名/発表者名
      松田七美
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会・ワークショップ『細胞の競合による生体制御の分子基盤』
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121211-20121214
  • [学会発表] Mechanism of in body size control via Sima/HIF-1α signaling in Drosophila.2012

    • 著者名/発表者名
      Mikako Hiramoto, Takahisa Ohno, Nobuhito Goda, and Nanami Senoo-Matsuda
    • 学会等名
      The 10th Japanese Drosophila Research Conference
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20121013-20121015
  • [学会発表] Functional analysis of Sima/HIF-1α signaling in Drosophila neurodegenerative disease models.2012

    • 著者名/発表者名
      Takahisa Ohno, Nobuhito Goda, and Nanami Senoo-Matsuda
    • 学会等名
      The 10th Japanese Drosophila Research Conference
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20121013-20121015
  • [備考] 早稲田大学理工学術院先進理工学部生命医科学科 分子生化学研究室ホームページ

    • URL

      http://www.aoni.waseda.jp/nanami.s.matsuda/

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公開日: 2014-07-24  

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