研究課題
ヒメミカヅキモには、+型と-型の遺伝的に決定された性を持つヘテロタリック株(以下、ヘテロ株)と、1細胞由来の同一クローン同士で接合子をつくるホモタリック株(以下、ホモ株)が存在する。ホモ株では、一つの細胞が有性分裂を行うことで生じた、二つの姉妹配偶子嚢細胞同士で接合子を作りやすく、近縁なヘテロ株との交配でハイブリッド接合子を作ることから、有性分裂によって、姉妹にヘテロタリック株に相当する性分化が生じていると考えられた。今年度は、2011年度に確立したホモ株(naga37s)について、次世代シークエンサー(Illumina HiSeq2000)を用いたtranscriptomeデータをもとに、de novo assembleを行った。132329のcontig配列の中から、ヘテロ株の-型細胞特異的に存在するCpMinus1遺伝子のオルソログと思われるcontig配列を見いだした。このcontigは、ヘテロ株と同様に、窒素源欠乏条件下で発現レベルが高まることが示唆された。現在、cDNA libraryからの全長クローニングを進めている。また、ヘテロ株の性フェロモン遺伝子のオルソログも見いだしており、生殖様式の進化と生殖関連遺伝子群の解析をするための基盤がようやく整った。一方、ヘテロ株とホモ株との混合によりハイブリッド接合子が生じるが、このハイブリッド接合子からの子孫発芽については、接合子嚢として放出された後、子孫細胞の形成が起こらず、最終的に成功しなかった。この点は、最も困難であると当初から考えられていた点である。
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Phycol. Res.
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