ランカマキリは花に類似した姿をした擬態昆虫である。これまでに我々は、ランカマキリの体色を生成する色素分子としてキサントマチンを同定した。しかし、キサントマチン自体は昆虫において広く存在する色素であり、これがどのようにして特有のピンク色を形成しているのかは不明であった。本研究の生化学的解析により、キサントマチンには実は3種類の類縁分子が存在し、その組成の違いによって異なる体色が生成されると示唆された。また、電子顕微鏡を用いた観察により、ランカマキリ体内においてはキサントマチン分子が特殊な細胞内構造を取っていることが明らかになった。これらのメカニズムによって特有の体色が生成されると考えられた。
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