研究課題
本研究の目的は、ヒトに常在し潜伏感染しているウイルスがストレスにより活性化する点に注目し、ウイルスの再活性化を社会的・心理的ストレスの新たな指標として確立し、同時に、非侵襲的方法を構築することである。現代社会の抱える問題の一つに社会構造の多様化・グローバリゼーションによるストレスの増大がある。ストレスの問題は、単に医学・生物学的なものだけではなく文化・社会的な要因も絡み、多様なストレス像が存在している。「病は気から」と言われるように、精神・心理的な抑圧は身体の免疫力を低下させることが知られている。その精神・心理的ストレスを非侵襲的かつ簡便な、しかも、定量的方法で測定できれば、心の健康のモニタリングにも貢献できる。 現在使用している唾液アミレースの簡易測定器は、新鮮採取試料を用いることを推奨しているため、本年度は予備テストとして保存唾液試料を用いた測定法の検討をおこなった。用いた試料は健常成人の唾液で、提供者の同意を得たものを用いた(コンケン大学にて倫理審査を経ている)。容量と反応時間を変え測定値の安定性を調べた。 血中γヘルペスウイルス量はDNAを指標としてリアルタイムPCR法でモニタリングする。サル(マカク)のウイルスDNA検出のためのプライマの設計をおこない、既存のプライマではPCR増殖ができなかった試料にも使用できることが判った。 パポバウイルスに属するJCウイルスがストレスマーカーとして適しているか、検出率・ゲノム配列の多様性等について既存データの再検討をおこなった。
3: やや遅れている
震災・原発事故後の節電により、大型機器を用いた解析をひかえたこと、昨年秋タイに発生した洪水のため、共同研究先での予備調査を次年度に延期したことによる。
ウイルス産生指標として血球中、及び、血清中のウイルスDNAを測定 コンケン大学医学部生理学教室との共同研究・調査の準備と実施 心理ストレス下にあるチンパンジー集団でのウイルス活性化の検討 唾液中ウイルス量の高感度測定条件の検討 研究の総括と国内外学会での発表・論文投稿による成果の発信
震災・原発事故後の節電により、大型機器を用いた解析をひかえた部分、昨年秋タイに発生した洪水のため、共同研究先での予備調査を次年度に延期した部分について執り行う。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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