研究課題/領域番号 |
23657172
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安河内 朗 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (20136568)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 混色光 / 青単色光 / 非視覚的影響 / メラトニン分泌抑制 / 瞳孔対光反応 |
研究概要 |
本研究ではLED照明に注目し、青色エネルギーを含むLED混色光の非視覚的影響を検討した。特にLED光源の瞳孔の対光反射及びメラトニン分泌抑制に対する影響について混色光における青色エネルギー絶対値への依存性とその加算性を検討し、併せて心理的評価をした。照明の混色条件は、5000Kで一定の演色性を保持できる最小の青色エネルギーを基本に、RGBのエネルギー配分を一定に保持したまま60 lx, 300 lx, 600 lxの混色光源とした。一方単色の青色光として混色光300 lx、600 lxのそれぞれに含まれる青色エネルギーを抽出したものをB300 、B600とし、他に60 lxの青単色光(60B)を加えた3条件とした。被験者は男子大学生8名とし、実験1週間前からリズム調整をさせた。被験者は9:00から25:00まで実験室内のdim light下で過ごさせ、25:00から90分間与えられた照明条件に曝露された。曝露前後の瞳孔を計測し、唾液採取からメラトニン分泌抑制度(MLS)を評価し、併せて心理評価をした。その後消灯して入眠、翌朝8:30に起床し、目覚め感の主観評価ののち、実験を終了した。混色光の300 lxと600 lxは青単色光のB300とB600よりエネルギー量は大きいが青色エネルギーは同じである。MLSへの影響は、混色300 lxと青単色B300では同じであるが、混色600 lxと青単色B600では青色エネルギーは同じでありながら赤と緑のエネルギーはが付加された混色600 lxの方が大きい傾向がみられ、MLSの青単色エネルギーの絶対値のみへの依存性はみられなかった。また同様の結果が瞳孔の対光反応でも確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り実験が実施され、メラトニン分泌量と夜間照明による抑制度、及び瞳孔の対光反応から青色単色エネルギーの非視覚的影響に対する重要な資料が得られたことから判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究経費が当初の申請時の計画より減額になっていることから、経費のかかるメラトニン分析をできるだけ削減し、その代わりに瞳孔対光反応に重点をおいて研究目的の達成を目指す。光刺激によるメラトニン分泌への影響は、網膜―視交叉上核の非視覚的ルートを経由することから、このルートを一部共有する瞳孔対光反応への重点の移行は妥当だと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、青色エネルギーの非視覚的影響の程度を重視する以下の実験を実施し、前年度の結果と併せて混色光における青色エネルギーの絶対値と相対値の影響を検討する。照明条件:照明光の全エネルギー一定下の青色エネルギー相対値の影響をみる。D50の分光分布を基準に300 lxのエネルギー一定下で、混色光における青色エネルギー相対値を変えて瞳孔の対光反応への影響をみる。このとき、D50の緑色エネルギー(G)を一定に保持し、青色エネルギーを変化させた分赤色エネルギー(R)により調整して全エネルギーを一定に保持する。これにより3つの照明条件を準備する。また限られた予算の範囲でメラトニン分泌抑制度(MLS)も併せて測定し、青色単色エネルギーの影響を検討する。実験:被験者は8名から10名を予定し、全員朝型の被験者とする。被験者には実験1週間前からリズム調整をさせる。実験は被験者1名、1条件につき2日を要する。実験1日目、被験者は9:00から25:00まで実験室内のdim light下で過ごさせ、25:00から90分間予め計画された照明条件に曝露させ、曝露前後の瞳孔径を測定し、また唾液採取からMLSを評価する。
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