研究課題/領域番号 |
23657172
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安河内 朗 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (20136568)
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キーワード | 混色光 / 青単色光 / 非視覚的影響 / メラトニン分泌抑制 / 瞳孔対光反応 |
研究概要 |
本研究ではLEDの混色照明における非視覚的影響について、特に瞳孔の対光反射及びメラトニン分泌抑制から評価し、非視覚的影響に対する混色LED光の青色エネルギー絶対値への依存性とその加算性を検討することを目的としている。昨年度は、RGBのエネルギー配分を一定に保持して青色エネルギー絶対値の非視覚的影響への影響を検討したのに対し、24年度はRGB混色全エネルギーを一定に保持する中で青色エネルギー相対値の非視覚的影響を重視する以下の実験を実施した。 照明条件は、D50の分光分布を基準に300 lxのエネルギー一定下で、混色光における青色エネルギー相対値を変えて瞳孔の対光反応及びメラトニン分泌抑制への影響をみた。このとき、D50の緑色エネルギー(G)を一定に保持し、青色エネルギーを変化させた分赤色エネルギー(R)により調整して全エネルギーを一定に保持した。被験者は8名、全員朝型であった。被験者には実験1週間前からリズム調整をした。実験1日目、被験者は20:00から24:00まで実験室内のdim light下で過ごさせ、翌日24:00から26:00まで予め計画された照明条件に曝露させ、曝露前後の瞳孔径を測定し、また唾液採取からMLSを評価した。その結果、光混色の全エネルギーが一定の場合、青色エネルギーの相対値が大きいほど瞳孔縮瞳率およびメラトニン抑制度はそれぞれ大きくなり、青色エネルギーへの依存性の大きさが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年度目においても当初の計画通り実験が実施され、メラトニン分泌量と夜間照明によるメラトニン分泌抑制度、及び瞳孔の対光反応から青色エネルギーの絶対値と混色エネルギーにおける青色エネルギー相対値のそれぞれの非視覚的影響に対する貢献度が重要な資料として得られたことから判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年度に実施する光条件は初年度とは異なる条件で青色エネルギー絶対値の評価をする。この3年度に実施した全光条件に対する同じ測定値(対光瞳孔反応、メラトニン分泌抑制度)をマトリックス的に比較することで、青色エネルギーの絶対値と相対値の非視覚的影響へのより精緻な貢献度を明らかにできると期待される。今後の研究としては、本研究目的の精査にあたって不足する情報があれば追加実験等でさらに精度の高い成果を求め、ヒトの健康的観点から市販される一般光源の青色エネルギーに対する指針作成のための基盤的情報を蓄積する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度(最終年度)は、G,Rエネルギーを一定に保持したまま青色エネルギー絶対値を変化させた影響を検討する。初年度とは異なる条件で青色エネルギー絶対値の評価をする。昨年度に用いたD50の300 lxにおける混色LEDのうちG,Rエネルギーを一定に保持し、青色エネルギーの絶対値のみを昨年度の混色LED3条件と対応させて変え、瞳孔対向反応及びメラトニン分泌抑制度への影響をみる。実験は、被験者8名を予定し、全員朝型の被験者とする。被験者には実験1週間前からリズム調整をさせる。実験の被験者および実験プロトコールは昨年と同様とする。経費は昨年と同様な使用計画であるが、経費のかかるメラトニン分析については予算消化との関係をみながら進める。 データ解析については、青色エネルギー絶対値の非視覚的影響を検討すると同時に昨年度の光条件と対応させることで赤色エネルギー絶対値の影響をみるが可能となり、最終的に非視覚的影響の青色エネルギー絶対値、相対値への依存性を検討することができると期待される。
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