研究課題/領域番号 |
23657175
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小柳 光正 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379276)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / 蛋白質 / 光生物 / 生理学 / 遺伝学 |
研究概要 |
概日リズムは、睡眠や学習の効率など生活の質とも密接に関わることから近年、非常に注目されている。概日リズムの光調節は、視物質に類似した光受容タンパク質の一種・メラノプシンが担っていることがわかっている。興味深いことにヒトのメラノプシン遺伝子には多型があり、概日リズムの調節に関わる表現型に多型が存在する可能性が想像される。そこで本研究では、これまで誰も成功していないヒトメラノプシンの培養細胞での大量発現系の構築に挑戦し、その系を用いてヒトメラノプシンおよびその多型のタンパク質機能解析を行う。その結果に基づき、概日リズムの光センサーであるメラノプシンが関与する表現型多型を予測し、他の疾患に比べて明確な症状が現れにくいと考えられるリズム障害などの発見と治療に有用な知見を得ることを目指す。 23年度は以下の成果を得た。・哺乳類メラノプシンの大量発現および分光学的解析に成功した。・ヒトメラノプシンとのキメラを作製し、近似ヒトメラノプシンの培養細胞での発現に成功した。・近似ヒトメラノプシンに対して、多型変異を導入したコンストラクトを作製した。・発現した哺乳類のメラノプシンの発現分布をリアルタイムPCRを用いて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの多様な光受容タンパク質の発現で培ったノウハウにより、速やかに哺乳類メラノプシンの大量発現および分光学的解析に成功した。また、これまで発現が困難とされていたヒトメラノプシンとのキメラについては、発現しないあるいは極端に発現量が低下することが危惧されていたが、実際には、作製した全てのキメラメラノプシンが発現し、研究遂行上の最重要ステップを無事に突破した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アミノ酸残基レベルでさらにヒトメラノプシンに類似した近似ヒトメラノプシンの作製を継続するとともに、すでに作製している近似ヒトメラノプシンの多型変異体について、分光学的・生化学的・細胞生物学的な解析を行い、野生型との比較から、表現型への影響を探る。 また、これらの解析の精度を上げるために、発現細胞や発現ベクターを検討し、より発現量の多い発現系の探索も平行して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定よりもスムーズにキメラメラノプシンのコンストラクト作製と培養細胞での発現に成功したために、次年度使用額91,547円が生じた。 この研究費を合わせることで、次年度は、予定よりも多くのキメラメラノプシンおよびその多型変異体の解析に加え、より発現量の多い発現系の探索を行う。
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