研究課題/領域番号 |
23658003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 幸博 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70280576)
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キーワード | バイオマス / 糖化性 / イネ |
研究概要 |
本研究では環境破壊、原油枯渇問題の克服を目指し、セルロース由来バイオエタノールの生産に適したイネの開発研究を行う。具体的には、イネの品種間の糖化性を決めている遺伝子(QTL)を同定し、糖化性を決定する仕組みを明らかにすると同時に、同定した高糖化性遺伝子を集積したイネを作成し、収穫後に稲わらのセルロースを容易に糖に分解できるイネの開発を行う。この研究開発により人類の持続的発展に貢献する。 今年度は まず昨年度の結果の再現性を調べた。イネ品種日本晴の染色体が部分的にイネ品種カサラスの染色体に置き換えられた染色体断片置換系統54系統の糖化性を調べところ、多くの系統で昨年度と同様な糖化性を示した。従って、稲わらの糖化性は年ごとの天候の違い程度の環境の差では大きく変化しないと考えられた。一方で、発育ステージや器官により糖化性は大きく異なることが分かった。 また、糖化性が高かった染色体断片置換系統と日本晴を交配し、F1を得た。F2が得られ次第、高糖化性遺伝子のマッピングを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高糖化性を示した染色体断片置換系統と日本晴のF1を作成できたものの、糖化実験に予想以上の労力がとられ、また必要なサンプル量も多かったため、F1を作成できなかった系統もある。この問題の解決のため、糖化性測定手法を改良した。 一方、この改良により、イネの器官ごとの糖化性を測定できるようになり、発育ステージや器官ごとに糖化性が異なることを見出した。また、糖化性は環境により大きく変化しないことがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
F1が作成できた系統に関しては、F2が採れ次第、高糖化性遺伝子のマッピングを行う。昨年度F1を作成できなかった系統は今年度作成する。また、高糖化性系統の細胞壁成分組成解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は主に交配と遺伝子マッピングを行う。そのため、イネの栽培に必要な土や肥料、栽培器具および遺伝子マッピングに必要なDNA抽出試薬、PCR試薬、制限酵素、電気泳動試薬等やその際に使用する器具の購入に用いる。また、細胞壁成分組成解析に必要な試薬を購入する。これまでに得られた成果の発表や、特に他のバイオマス植物、糖化前処理、糖化・発酵微生物などの関連研究の動向を見据える必要があり、そのような情報収集のための旅費に用いる。
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