研究課題
本研究では環境破壊、原油枯渇問題の克服を目指し、セルロース由来バイオエタノールの生産に適したイネの開発研究を行う。具体的には、イネの品種間の糖化性を決めている遺伝子(QTL)を同定し、糖化性を決定する仕組みを明らかにすると同時に、同定した高糖化性遺伝子を集積したイネを作成し、収穫後に稲わらのセルロースを容易に糖に分解できるイネの開発を行う。セルロース系バイオエタノール生産においては原料植物(細胞壁)の糖化の困難さが最大の問題となっており、この問題に植物の改良という点から取り組み、人類の持続的発展に貢献する。今年度は、昨年度に作成した高糖化性を示した染色体断片置換系統と日本晴のF1を栽培し、F2種子を得た。遺伝子型の決定と糖化性試験を比較すると、糖化試験の方が多くの労力を必要とすることから、まずF2個体の遺伝子型を調べ、候補領域の絞り込みに適した個体を選抜し、その後その個体の糖化性試験を行うことにした。これまでに、約100個体を調べ、絞り込みに適した9個体を選抜した。これらを用いることにより高糖化性遺伝子領域を絞り込み、遺伝子同定を目指すことができる。また、イネの器官(葉身、葉鞘、茎)ごとの糖化性を調べた。その結果、日本晴、カサラスともに調べた全てのイネの発育ステージで茎の糖化性が高く、葉身、葉鞘の糖化性は低いことがわかった。このことは各器官の割合により稲わら全体の糖化性が変わり、茎の割合が高いと糖化性が高くなることを意味している。
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Transgenic Res
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日本エネルギー学会誌
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J Biosci Bioeng
巻: 116巻 ページ: 616-619