根の皮層組織の細胞死によって形成される通気組織は、植物の耐湿性付与に重要な機能を果たしている。しかしながら、その通気組織の形成機構についてはほとんど分かっていないのが現状である。これまでにLaser Microdissection(LM)-マイクロアレイ解析によって、トウモロコシの根の皮層細胞特異的に発現する通気組織形成関連遺伝子を多数同定した。本研究では、トウモロコシの根の横断切片からLMによって、皮層組織を単離して、タンパク質を抽出し、網羅的なタンパク質の解析を行う。これにより通気組織形成過程で皮層組織特異的に蓄積するタンパク質を同定し、通気組織の形成機構を解明することを目的とする。 平成23年度にパラフィン包埋切片からLMを利用して抽出したタンパク質の回収する際に最適の固定液がエタノール:酢酸(3:1)であることが明らかになったので、平成24年度はエタノール:酢酸(3:1)の固定液で固定したトウモロコシの根の試料を用いて、LMを利用した皮層組織内のタンパク質の回収を試みた。本研究では、LMにより回収した組織のタンパク質抽出液を直接扱う予定であるため、正確なタンパク質の定量を行うことが重要となるが、タンパク質の回収量が微量であるために正確な定量が困難であった。タンパク質が回収されているかどうかを確認するために、ウエスタンブロッティングを行ったところ、特異的なバンドが検出できたので、微量であってもタンパク質が回収されていることは確認できた。
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