4倍性コムギとタルホコムギを交雑して得られる合成パンコムギは、通常パンコムギに祖先野生種であるタルホコムギの有用遺伝子を導入する際の育種母本として用いられている。しかし時に両親の持つ核ゲノム間の相互作用により雑種の生育不良が起こる。本研究は、この雑種弱勢の弱い症状を示す合成パンコムギ系統において病害抵抗性の上昇が認められるのかどうかを検証することを目的としている。本研究結果から、クロロシスの程度の弱い合成パンコムギ系統では、農業形質への影響最小限に抑えつつ病害抵抗性をある程度上昇させることが期待でき、栽培地によってはハイブリッドクロロシスを用いて病害抵抗性と生育阻害の間のトレードオフを成立させながらコムギの病害抵抗性育種を行える可能性が示唆された。
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