研究概要 |
GRH2遺伝子とGRH4遺伝子の両方を有する水稲はツマグロヨコバイに対して高度に抵抗性を示す。しかしながら、なぜこれらの遺伝子群を持つ水稲が抵抗性を示すのかは明らかとなっていないことから、本研究はこの抵抗性のメカニズムを全容解明するとともに、この遺伝子の機能を近似遺伝子系統(Near Isogenic Line)の水稲を用いて植物二次代謝産物の観点から明らかにすることを目的とした。 ツマグロヨコバイ抵抗性因子は、摂食行動、特に篩管からの吸汁行動を阻害する摂食阻害物質であることを明確化し、これらの物質はいずれも、極性の極めて高い、10種類の塩基性物質であること、LC-MSやNMR等の各種機器分析を用いることにより、その構造を、D-Alanylglycine, L-Isoleucine, L-Leucine, Cytidine N-(1-Deoxy-D- fructos-1-yl)-L-isoleucine, N-(1-Deoxy-D-fructos-1-yl)-L-leucine, L-phenylalanine, 1-Methylnicotinamide, 4-Aminobutanamide, Nicotinamideと決定した。これらを全て合わせると、元の水溶性画分の活性が復元し、抵抗性品種上で飼育した時と同様、著しい抵抗性を示すことを明かとした。
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