研究課題/領域番号 |
23658026
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 省吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90241489)
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研究分担者 |
竹本 大吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30456587)
河村 耕史 大阪工業大学, 工学部, 講師 (00595613)
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キーワード | バラ / 棘 / AS1 / class1 KNOX |
研究概要 |
ノイバラより単離したRKN遺伝子(ClassI knotted-like homeoboxホモログ)の花序における発現解析を、昨年度に引き続き、異なる変異体を用いて行い、棘の発生しない花序第3節では、野生株、棘無し変異体A, B, C, D株いずれも高い発現レベルにあることを確認した。これに対し、花序第1節では、棘無し変異体B, C, Dは高い発現レベルを示したが、棘の発生する野生株と変異体Aでは、発現レベルが有為に抑えられていた。棘無し変異体Aでの発現レベル低下の原因は不明であるが、昨年度と同様、RKN1が棘形成に抑制的に働いている可能性が考えられた。前年度、バラ品種‘The Fairy’とテリハノイバラのF1交雑集団個体を用いた連鎖解析からRKN遺伝子がバラ第3連鎖群の棘密度を司るQTLに座乗していることを確認したが、本年度は、F1 96個体のRKN1遺伝子型を決定し、RKN1-1をホモで持つと棘数が少なくなることを明らかにした。また、RKN遺伝子をALSVベクターに導入して、組換えウイルスRKN-ALSVを作製し、ノイバラ棘無し変異体に接種したところ、棘形成する個体が出現した。本結果からも、RKN1は棘形成を抑制していることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、葉原基形成に関わるROPHAN遺伝子(AS1ホモログ)とRKN1遺伝子(Class 1 KNOXホモログ)をノイバラから単離することに成功し、遺伝子発現解析ならびに棘形質分離集団を用いた連鎖解析から、本遺伝子群が、バラ棘密度QTL内もしくはその近傍に座乗していることを明らかにしている。本年度は、特に、詳細な発現解析とリンゴ小球型潜在ウイルス(ALSV)誘導ジーンサイレンシングの系を用いた機能解析から、RKN遺伝子と棘形質との関連の一端を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、これまでの研究成果をまとめることを中心に行うとともに、成果を国内学会で発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、バラ棘形成に関わる候補遺伝子RKN1の機能解析結果を学会発表する予定であったが(平成26年度春季大会(平成26年3月29-30日)を予定していた)、組換え植物体育成に時間を要したため発表に至らず、発表にかかる経費に未使用額が生じた。 このため、学会発表を次年度の平成26年度秋季大会に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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