研究課題/領域番号 |
23658033
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
久保 達也 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70359983)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | カンキツ / 自家不和合性 |
研究概要 |
本研究の最終目標は、カンキツ類の自家不和合性関連遺伝子を単離し、カンキツの自家不和合性機構の解明に資するとともに、既存品種のS遺伝子型を決定することである。その上で、平成23年度には、当初の予定通り、カンキツの蕾の発育に伴って発現量が増大する遺伝子ライブラリーを作成した。このライブラリーは遺伝子レベルでの引き算(サブトラクション)により作成した。現在、このcDNAライブラリーの塩基配列の網羅的解析を進めており、DNAデータベース(EST等)の検索によって機能推定・発現組織の推定を行いS遺伝子候補になり得るかどうかのフィルタリングを行っている。これまでに抗菌性に関与する遺伝子やエネルギー生産、代謝に関わる遺伝子が多く単離され、生殖に関与する最も保護すべき器官であるとともに急激な成長を示す器官の特徴であることがうかがえた。現在、得られた候補遺伝子について、組織特異性などの自家不和合性遺伝子の特徴や、既知の自家不和合性遺伝子型との対応などの実験も開始しており、遺伝子の単離を実現する足がかりを得た段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度には、カンキツの蕾の発育に伴って発現量が増大する遺伝子ライブラリーを作成した。すなわち、開花直前の花柱で発現している遺伝子から開花5~6日前の花柱で発現している遺伝子をサブトラクション(引き算)し、開花直前に発現量が高まる遺伝子だけを回収した。現在、このcDNAライブラリーの塩基配列の網羅的解析を進めており、DNAデータベース(EST等)の検索によって機能推定・発現組織の推定を行いS遺伝子候補になり得るかどうかのフィルタリングを行っている。既に、RT-PCRによる組織特異性の確認や遺伝子型に対応しているかどうかによるフィルタリングも開始している。ただし、最終的に目標が達成できたかどうかについては、遺伝子の単離に成功したかどうかにかかわってくるので、現時点では、成功かどうかは判断できないが、研究の進捗状況としては予定どおりと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今度は、平成23年度の解析を継続するとともに、これまでに得られている候補遺伝子について、組織特異性や既知のS遺伝子を持つ品種間での多型を確認する。S遺伝子の発現は花柱特異的であることが知られており、候補遺伝子について、特異的なプライマーを設計し、花柱、花弁、花糸、がく、葯、子房、葉の各器官での発現をRT-PCRで確認し、花柱でのみで発現する遺伝子をスクリーニングする。また、これまでに、クレメンティンマンダリンに類縁の品種のS遺伝子型を推定しており、組織特性によってスクリーニングされた候補遺伝子について、これらの品種間の多型を調べ、S遺伝子型との一致を確認する。一方、現在、遺伝子の機能解析のためのアッセイ系の検討を行っており、遺伝子を単離した後の同定に繋げる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、遺伝子発現解析用試薬類、学会発表等の旅費としての使用を予定している。
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