研究概要 |
本研究の最終目標は、カンキツ類の自家不和合性関連遺伝子を単離し、カンキツの自家不和合性機構の解明に資するとともに、既存品種のS遺伝子型を決定することである。 昨年度作成したたカンキツの蕾の発育に伴って発現量が増大する遺伝子ライブラリー(サブトラクションライブラリー)から222クローンについて、DNAデータベース(EST、BLAST)検索を行ったところ、花器官特異的に発現している5つの遺伝子候補(citT015, citT134, citT169, citT194, citT209)を得た。そこで、これらの候補遺伝子について各花器官(花柱、子房、葯、花糸、花弁、がく)における発現解析を行ったところ、citT209のみが花柱特異的であることが明らかとなった。citT209はCu/Zn スーパーオキシドジスムターゼであると推定された。これまでの我々の調査から蕾への硫酸銅あるいは硫酸亜鉛処理によって自家不和合性が打破される可能性を示しており、CuやZnを介した自家不和合性のメカニズムの存在が示唆された。 本遺伝子が自己と非自己の認識に関わっているかどうかは不明であることから、機能解析と併せて各カンキツ類のS遺伝子型との対応、多型の有無等について、今後検討する予定である。 また、本年度、花粉の液体培地での培養法を改良し、機能解析のためのアッセイ系も確立した。
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