シュートヒータをスイカ植物体に装着加温する区を設け,果実発育後期まで加温し,果実内部における細胞形態学および生理学的な現象の面的解明し,スイカのように大きな果実における甘味の偏在性について調査した.ハウス内の最低温度は15℃まで低下したが,シュートヒータの装置内温度は夜間でもほぼ設定温度の32℃を中心にして推移した.その結果,果実表面温度は,加温区のほうが1℃前後高く,果実中心部の温度も無加温区26.5℃に対して,加温区では加温部分がより広く,中心部の温度も28.3℃と高くなった. 果実の縱径,横径および重さは収穫時の6月14日では加温区で無加温区より有意に小さくなった.開花25日目の細胞の大きさは,無加温区では中心部で大きく外側部で小さくなったが,加温区では果実外側部の細胞が無加温区より大きくなり,これらの各部位の平均の細胞の大きさは,無加温区より加温区でより大きくなった.AI活性は,無加温区で加温区で無加温区より小さくなった.これとは反対に,SPS活性は加温区で15μmol min-1 mg-1 protein以上の活性を示す部位が外側部3ヶ所と果実外側部で高いSPS活性が見られ,中心部でも1カ所あったが,無加温区では5μmol min-1 mg-1以下の部位がほとんどであった(第31図).平均値でみると, SPS活性は加温区で無加温区より有為に大きくなった.部位別のスクロース含量は,開花25日目では無加温区ではいずれの部位でも同じで,加温区では中心部で高くなった.開花35日目ではいずれの区でも外側部で大きくなったが,加温区では無加温区より極端に大きくなった.平均値でみると,25日目では何れの糖も区間で差異はなかったが,35日目になるとスクロース含量が加温区で無加温区の1.74倍の32.7 g・L-1 と大きくなったが,グルコース,フラクトースには差異は見られなかった.
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