研究課題/領域番号 |
23658036
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中島 育子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所 栽培・流通利用研究領域, 主任研究員 (80355362)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ニホンナシ / 形質転換 / 子葉 / 超音波処理 |
研究概要 |
ニホンナシ品種‘安下庄支那梨’、‘伯帝竜’、‘幸水’、‘なつしずく’およびニホンナシとセイヨウナシの雑種である‘二宮’の子葉を用いてGFP遺伝子を持つアグロバクテリウムの感染実験を行った。感染から2週間のトランジェント、5ヶ月のステーブルな状態でのGFP蛍光の観察による形質転換効率を検討した。GFP蛍光は、カルシウムイオンのキレート剤であるEGTA処理および超音波処理を行ったトランジェントな状態の‘安下庄支那梨’の85%の子葉で認められ、ステーブルな状態では、EGTA処理および超音波処理を行った‘なつしずく’の68%の子葉で認められた。アグロバクテリウム感染時における超音波処理は、超音波処理を行わなかった処理区と比較してトランジェントおよびステーブルな状態で、5%レベルで有意に効果が認められた。EGTA処理はトランジェントおよびステーブルな状態ともに有意な効果は認められなかった。18個体の再分化個体が得られ、超音波処理に加えてEGTA処理を行った区からGFP蛍光を示す1個体の形質転換個体が得られた。本研究で初めて多数のGFP蛍光を示すカルスが得られたが、植物体はカルスからの再分化ではなく、子葉から直接再分化したものであった。ニホンナシでは‘安下庄支那梨’および‘今村秋’で子葉からの再分化効率が高いことを明らかにしたので、今後これらの再分化効率の高い品種を重点的に材料として用いることで形質転換の効率化を検討する。また、実験途中にアグロバクテリウムのオーバーグロースにより、枯死する子葉が多かったため、形質転換植物体獲得効率が上がらないことが考えられた。そのため、アグロバクテリウムの除菌効果の高い抗生物質について検討を行い、形質転換の効率化を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子葉へのアグロバクテリウム感染時に超音波処理を行うことにより、GFP蛍光を示す子葉およびカルスが多数認められ、率も有意に高かったことから、アグロバクテリウムの感染は効率よく起こっていると考えられる。また、子葉からの再分化効率の高いニホンナシ品種(‘安下庄支那梨’ および‘今村秋’)を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
アグロバクテリウムの感染は効率よく起こっていると考えられるが、植物体はカルスからの再分化ではなく、子葉から直接再分化したものであった。そこで子葉からの再分化効率が高いことを明らかにした‘安下庄支那梨’および‘今村秋’を重点的に材料として用いることで形質転換の効率化を検討する。また、実験途中にアグロバクテリウムのオーバーグロースにより、枯死する子葉が多かったため、形質転換植物体獲得効率が上がらないことが考えられた。そのため、アグロバクテリウムの除菌効果の高い抗生物質について検討を行い、形質転換の効率化を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題遂行のため、次年度の研究費は交付申請時の計画通りに使用する。なお、次年度使用額241,839円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と併せて研究計画遂行のために使用する。
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