研究課題/領域番号 |
23658036
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
中島 育子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所栽培・流通利用研究領域, 主任研究員 (80355362)
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キーワード | ニホンナシ / 形質転換 / 子葉 / 超音波処理 |
研究概要 |
ニホンナシではこれまで形質転換系が確立されていなかった。そこで、ニホンナシ4品種(‘安下庄支那梨’、‘伯帝竜’、‘幸水’、‘なつしずく’)およびニホンナシ雑種1品種(‘二宮’)の完熟種子由来子葉を材料として、アグロバクテリウム感染の効率化を目指した。アグロバクテリウム感染時にオキシダティブバーストを抑制するためにカルシウムキレート剤を用いたり、あるいは物理的に細胞壁に傷を付けるために超音波処理を行うなどの検討を行ったところ、ニホンナシ‘安下庄支那梨’完熟種子由来子葉の両処理を行った処理区から1個体の形質転換体が得られた。そこで形質転換のさらなる効率化のため、子葉からの再分化効率の高いことを明らかにしたニホンナシ‘今村秋’の子葉を材料として、子葉の発育ステージに沿ってアグロバクテリウムの感染実験を行った。ブドウ由来のmyb遺伝子を導入し、myb遺伝子よる組織の赤い着色によって形質転換のスクリーニングを行ったところ、完熟あるいは完熟に近い種子を材料として用いる方が良いことが明らかとなり、赤い着色の認められるシュートが得られた。これらの結果をあわせると、ニホンナシにおいて低率ではあるものの複数個体の形質転換シュートを得ることができた。これまでの実験で、選抜培養中にアグロバクテリウムのオーバーグロースによる子葉の枯死が多いことを観察していた。そのため、今年度除菌効果の高い抗生物質の検討を予定していたが、培養作業部屋のフィルターの不具合により培養実験に支障を来し、期間延長申請が認められたため、次年度検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度予定していた、除菌効果の高い抗生物質を用いたアグロバクテリウムのオーバーグロース防止による形質転換効率の効率化に関しては、培養作業部屋のフィルターの不具合により培養実験に支障を来したため、期間延長申請を行い、次年度検討を行うことで承認を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度予定していた、除菌効果の高い抗生物質を用いたアグロバクテリウムのオーバーグロース防止による形質転換効率の効率化に関しては、培養作業部屋のフィルターの不具合により培養実験に支障を来したため、次年度検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に実験を行った段階でアグロバクテリウムのオーバーグロースによる枯死が多いことが分かり、平成24年度は除菌効果の高い抗生物質について検討を始めていたが、培養作業部屋のフィルターの不具合により、培養実験に支障を来した。今年度末ころに修理が完了したため、次年度は平成24年度に計画していた抗生物質についての検討を行い、形質転換の効率化を目指す。未使用額はその経費に充てることとしたい。
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