研究課題/領域番号 |
23658038
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
曾根 輝雄 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00333633)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | いもち病 / 突然変異 / バイオテクノロジー / 菌類 / 組換え修復 |
研究概要 |
いもち病菌Magnaporthe oryzaeのゲノム情報からMRE11及びXRS2に相同性のある遺伝子を検索した.その結果, MRE11と相同性のあるMhm11(MGG_09555)の存在を確かめた.XRS2に相同性のある遺伝子は見つからなかったため,分裂酵母のNBS1と相同性のある遺伝子を検索したところ,Nhm1(MGG_11757)が見つかった.これらの遺伝子の欠損株を得るために遺伝子破壊用コンストラクトpBLASTR/Mhm11inv(ブラストサイジン耐性), pDESTR/Nhm1inv(ハイグロマイシン耐性)を構築した.プロトプラスト-PEG法により形質転換し,欠損株を得た.それぞれの欠損株の諸性質を既に取得したrhm50欠損株と比較した.その結果,胞子形成数の低下,付着器形成率の低下,生育の遅延,MMSへの感受性の増加が見られ,その程度もrhm50欠損株と同程度であった.また,それぞれの相補株も作成し,得られた性質が遺伝子欠損によって引き起こされている事を確かめた.さらに,噴霧接種により病原性を調べたところ,両遺伝子の欠損株はイネへの病原性を失っており,rhm50欠損株と同様であった以上のことから,Mhm11, Nhm1はRhm50と同じDNA修復経路で機能していると考えられた.それぞれのタンパク質の直接的な相互作用を確かめるために,Yeast two hybrid解析を行ったが,これまでのところ,明確な相互作用をしているという結果を得る事が出来ていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的遺伝子のクローニングとその欠損株の作成を終了した.それぞれの欠損株の解析も完了し,予想通り同様の経路で機能していることが確認出来た.3タンパクの相互作用は明確に確認出来ていないが,大腸菌発現の準備も完了しており,おおむ順調と言える.
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今後の研究の推進方策 |
Rhm50, Mhm11, Nhm1の相互作用を,大腸菌発現タンパクに対応する抗体を使用したプルダウンアッセイにより確認する.酵母two-hybrid系を応用した阻害剤のポジティブスクリーニング系の開発に着手する.欠損株の表現型から,上記の3つの因子のうち1つでも欠損するとイネへの感染能とDNA修復能が失われることから,3つの相互作用のうち1部分でも阻害できれば目的は達せられると考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額については,3月末に開催された学会への出席のための旅費として既に使用済みである.次年度請求額については,主に消耗品のための物品費と,学会出席のための旅費として使用する.
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