研究課題/領域番号 |
23658046
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
新美 輝幸 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (00293712)
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研究分担者 |
梶村 恒 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10283425)
佐原 健 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (30241368)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 性決定 / 半数ー倍数性 / キクイムシ |
研究概要 |
本研究では、キクイムシの性決定に関与する候補となる遺伝子群を種々の方法を駆使してクローニングする。これら遺伝子ついてRNAi法を用いた遺伝子機能解析を行うことにより、半数-倍数性に基づく性決定におけるこれら遺伝子の役割を解明することを目的とする。 そこで本年度はまず、ショウジョウバエで明らかにされた性決定カスケードの遺伝子である、双翅目昆虫や膜翅目昆虫で機能が保存されたtransformer(tra)とtarnsformer-2(tra-2)、さらに鱗翅目昆虫を含む広範な昆虫種で保存されたdoublesex(dsx)のクローニングをXyleborini族のキクイムシ数種から試みた。traは昆虫種間での相同性が極めて低いため、RT-PCR法でのクローニングは困難が予想されたが、これまでに数種の双翅目昆虫およびミツバチからクローニングされたtra相同遺伝子およびコクヌストモドキのゲノム情報から見出したtra相同遺伝子間でわずかに保存されたアミノ酸配列に基づき、可能な限り複数のプライマーを設計し、クローニングを試みた。しかしながら、この方法ではクローニングはできなかった。そこで、キクイムシ以外の数種の鞘翅目昆虫を用いて同様にクローニングを試みた。様々な試行錯誤を行った結果、幸いにもナミテントウからtra相同遺伝子のクローニングに成功した。また、tra-2についてはユズリハノキクイムシから相同遺伝子の部分配列をクローニングした。さらに、dsxについてはユズリハノキクイムシおよびクリノミキクイムシから相同遺伝子の部分配列をクローニングした。 また、異なる性決定様式のキクイムシ間での配偶子形成過程の染色体観察を行うための予備実験として、既に染色体観察法の確立した数種の鱗翅目昆虫を用いて条件検討を行った。 さらに、本研究遂行に必要となる各種キクイムシの飼育システムの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題の計画の中で、最も困難であり多くの時間を費やすことが予想されたtraのクローニングに成功した。今回得られたクローニングに成功したのはナミテントウの配列であるが、この配列情報をもとにキクイムシからのクローニングが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は、現時点ではないため、予定通り研究計画を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の計画で予想外の進展があり、遺伝子クローニング実験を集中して行ったため倹約することができた。次年度は、キクイムシの性決定遺伝子の発現解析およびRNAi法による遺伝子機能解析を行う。繰り越し分は、遺伝子機能解析に使用することにより、予定より広範な解析が可能になった。
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