研究概要 |
昆虫の免疫機構は脊椎動物とは異なり、獲得性免疫機構は持たず、迅速で非特異的に行われる自然免疫機構のみを有し、一度侵入・感染した病原体に対する免疫記憶はないとされる。しかし、一度侵入・感染を受けた特定の病原体が再度侵入・感染を受けた場合、昆虫はそれを記憶し、より抵抗性、耐性を増し、排除する効率が上昇するかについては十分に解析されていない。本研究では昆虫の昆虫の免疫記憶の有無を明確にするための検証を行うことを目的とする。本年度はカイコ幼虫を用い、これに、E. coli, S. aureus, M. luteus, P.aeruginosa, E. Faecalis, S. marcescens, B. cereus, B. subtilis をそれぞれ経皮感染させ、接種後の生存率を解析し、これら微生物感染に対する最低致死量を調べた。微生物によって最低致死量は大きく異なり、P.aeruginosa や B. cereus、S. marcescens に対する最低致死量は E. coli や B. subtilisの1/1000以下であった。現在、これら微生物を最低致死量に満たない量で接種させ、一定時間後に同じ種類あるいは異なる種類の微生物を再度接種させ、両者において生存率に変化が生じるのか、カイコ幼虫内の微生物数に変化が生じるのかについての解析を行っている。
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