現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Bradyrhizobium属細菌の超近縁菌ゲノム比較による植物共生システムの探索が根粒共生(Cluster I)、茎粒形成(Cluster III)、エンドファイト(Cluster II)でいずれも進み、学術的に非常に興味深い知見が得られつつある。 根粒共生(Cluster I)では、Rj2遺伝型ダイズHardeeに共生不和合性を示すUSDA122株に特異的なエフェクターを探索するためにフラボノイド添加・無添加の分泌タンパクを解析し、USDA110株およびUSDA122株のゲノム情報から得られる遺伝子の探索を行った。その結果、共生不和合性のUSDA122株のドラフトゲノム情報から共生和合性のUSDA110ゲノム上のエフェクター遺伝子と相同性があり、数アミノ酸置換を起こしているエフェクター候補遺伝子NopE1などを見いだした。宿主側のRj2遺伝子の実態も明らかにされているので、両者の相互作用メカニズムについても研究が進むことが期待される。 茎粒形成(Cluster III)では、共生アイランドを持たないAgromonas oligotrophica S58株とその近縁株ゲノムの比較により、クサネムへのNod-factor非依存性の共生システムの解明に道を開いた成果となった。 サツマイモ窒素固定エンドファイト(Cluster II)のドラフトゲノム解析を完了し、近縁のBradyrhizobium属細菌ゲノムとのnif, fix, ndv, T3SS遺伝子などの詳細な比較解析を進め始めた。また、イネ根からS58株やORS278株に近縁でありながら、クサネムに根粒形成を起こさない菌株を得ており、Nod-factor非依存性の共生システム解明の鍵となるBradyrhizobium属細菌の取得も成功した。
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