研究課題/領域番号 |
23658058
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
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研究分担者 |
成澤 才彦 茨城大学, 農学部, 准教授 (90431650)
佐藤 嘉則 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存修復科学センター, 研究員 (50466645)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 細胞内共生 / 接合菌類 / 内生細菌 / 共生工学 / エンドファイト / Burkholderia / Mortierella / Pythium |
研究概要 |
先に、研究代表者らは、土壌からの糸状菌分離株(多くはMortierella elongata)の菌糸内部に新規細菌種(Burkholderia属細菌)が内生していることを見出した。本研究は、宿主糸状菌と内生細菌との宿主特異性および内生機構の解明を目的とし、宿主糸状菌細胞に有用内生細菌を感染・安定化させて有用微生物共生体を作出する「微生物共生エンジニアリング」という新しい技術の確立をめざすものである。本年度は、1) 宿主糸状菌について内生細菌の網羅的な検出と、2) 宿主糸状菌のライフサイクルおよび世代間を通じた内生細菌の分布様式・伝搬機構の解明に向けた基礎実験を行った。1)については、様々な糸状菌株について検討した結果、農業生産上重要な病原菌として知られているPythium aphanidermatum OPU344株、Pythium nun OPU640およびUZ2041株に関して、顕微鏡下および遺伝子シークエンスによって細菌様構造物を確認した。2)については、Burkholderia属細菌を内生するMortierella elongata FMR23-6株から内生細菌を除去する手法を開発した。これによって宿主糸状菌株を確立したことになる。これまでに様々な実験を行ったが、Mortierella elongata FMR23-6株から内生細菌を純粋分離することには成功していない。そこで内生細菌のDNAを分画・単離する方法を開発した。単離した内生細菌DNAについて、現在、ゲノム解析を行っている。また、亜熱帯地域から分離した、植物根部エンドファイト(糸状菌)、Veronaeopsis simplexについても内生細菌を見いだした。現在、植物の生育温度がエンドファイトと内生細菌のポピュレーションに与える影響を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
様々な糸状菌株で内生細菌の存在を示した点、特に、農業上の利用が期待されているエンドファイトについて内生細菌を見いだした点が評価される。また、現在進めている「内生細菌のゲノム解析」の結果によって、特定の細菌が糸状菌に内生するメカニズムの遺伝子レベルでの解明が、次年度の研究で大いに期待される。
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今後の研究の推進方策 |
内生細菌のゲノム解析の結果を元に、細菌を糸状菌に内生させる技術の開発に重点をおいて研究を進める計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子解析用の試薬の購入、成果発表のための旅費、実験補助の謝金にあてる計画である。
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