研究課題/領域番号 |
23658058
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
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研究分担者 |
成澤 才彦 茨城大学, 農学部, 准教授 (90431650)
佐藤 嘉則 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存修復科学センター, 研究員 (50466645)
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キーワード | 細胞内共生 / 接合菌類 / 内生細菌 / 共生工学 / エンドファイト / ゲノム解析 / Mortierella / Burkholderia |
研究概要 |
本研究は,先に,研究代表者らが報告した「土壌糸状菌への細菌内生現象」を解明し,その成果を微生物工学的技術の展開に生かすことを目的とするものである.平成24年度は,昨年度に構築した糸状菌コレクションから,微生物共生エンジニアリングの実験に適する内生細菌保有糸状菌株を選抜して,(1)宿主糸状菌から内生細菌を除去する技術および内生細菌の感染(内生化)・安定化に関する技術の開発,(2)内生細菌が宿主糸状菌のライフサイクルに与える影響の観察,(3)内生細菌のゲノム解析による内生細菌のゲノム遺伝子の特徴の解明,を行った.(1)については,糸状菌胞子をクロラムフェニコールで処理することによって,内生細菌を保有しない糸状菌株を作出することに成功した.また,当該糸状菌から内生細菌画分を調製する技術も開発した.次に,これらの分別した標品を用いて再内生化の条件を検討した.これまでの実験では,一時的に細菌を糸状菌菌糸内に内生化させる条件を確立したが,経代培養で内生化が維持されない課題が残った.(2)については,内生細菌除去糸状菌株では,内生細菌保有株に比べて気中菌糸が増加するなど,コロニー形態が変化すること,内生細菌の存在によって糸状菌の亜硝酸イオンへの感受性が高まることを見出した.(3)では,内生細菌保有のMortierella elongata FMR23-6 I-B1株から内生細菌ゲノムDNAを調製し解析した.その結果,供試菌株に内生する細菌の推定ゲノムサイズは約2.8 Mb,推定ORF数は2,300程度であり,システイン合成系とシスチン輸送タンパク質およびグルタチオン合成系の遺伝子を欠いていることを明らかにした.なお,(3)の研究成果は,第28回日本微生物生態学会豊橋大会において公表した結果,最優秀ポスター賞に選ばれた.
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