研究課題/領域番号 |
23658063
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小松 節子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所・畑作物研究領域, 上席研究員 (90355751)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 湿害 / ダイズ / 生物フォトン / プロテオミクス |
研究概要 |
ダイズの湿害を生育初期に回避することは、水田転換畑でのダイズの栽培を可能にし、生産性の安定・向上に不可欠である。ダイズ湿害の植物体での早期検出に、生物フォトン放射を応用することを目的とする。生物フォトンは、乾燥、重金属、高温・低温、塩、病原菌等に基づく、呼吸阻害、膜阻害、SH基阻害等で、強く放射される。一方、ダイズも湿害の原因として、酸素の不足・欠乏、細胞膜等の損傷、ミトコンドリアのエネルギー産生機構の傷害、病気の発生等々が示唆されている。そこで、ダイズ植物体が土壌環境下で起こる湿害の早期検出に、生物フォトン放射を応用するために、湿害下で時期器官特異的に発現するタンパク質群を解析し、地下部で変動しているタンパク質と同様な変動を地上部で示すタンパク質群を検出し、生物フォトンの波長と強度および発現変動を解析した。1.ダイズを播種後出芽時に冠水処理し、経時的に根、胚軸、および葉の各器官を採取した。タンパク質を抽出しプロテオーム解析後、各器官で変動するタンパク質群に関ついて質量分析計を用いて同定した。その結果、湿害下で変動する計168タンパク質のうち熱ショックタンパク質およびイソフラボン還元酵素等が、各器官に共通して発現していることを明らかにした。2.そこで、これらタンパク質遺伝子の発現を定量PCRを用いて解析した結果、葉において顕著に発現し、湿害で減少することを明らかにした。3.ダイズを播種後出芽期に冠水処理し、フォトンカウンターを用いて経時的に各器官でin vivoおよびin vitoroの両系を用いて生物フォトンを測定した。その結果、湿害により生物フォトンの発現が変動していることを明らかにした。4.さらに次年度計画のストレス特異性についても乾燥ストレスについて比較検討し、異なる生物フォトンの発生パターンを示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度計画は順調に進捗し論文を投稿中である。さらに、次年度計画のストレス特異性に関しても着手中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に得られた結果を元にして、ダイズ植物体の土壌環境下で起こる湿害の早期検出における、生物フォトン放射を利用の可能性について検討する。特に、生物フォトン発生のストレス特異性やタンパク質レベル・RNAレベルでの発現の相違等を明らかにし、ダイズの冠水処理による湿害発生機構における生物フォトンを発生するタンパク質群の利用について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画通りに使用する。
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