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2011 年度 実施状況報告書

糸状菌のサイレントパラログの選択的発現活性化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23658065
研究機関東北大学

研究代表者

五味 勝也  東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60302197)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード糸状菌 / 休眠遺伝子 / パラログ / 遺伝子発現 / 遺伝子クラスター / マルトース資化
研究概要

(1)麹菌のMALホモログクラスター構成遺伝子の機能を明らかにするため、酵母MALクラスターのマルトースパーミアーゼ欠損株と転写因子欠損株に、麹菌のマルトースパーミアーゼmalPのホモログと転写因子malRのホモログをそれぞれ導入し、マルトース培地での生育を比較した。酵母変異株にmalPホモログを導入すると、マルトース資化性を回復したことより、malPホモログはmalPと同様マルトーストランスポーターとして機能することが示唆された。それに対し酵母変異株にmalRホモログを導入しても、malRを導入した場合と同じくマルトース資化性の回復は見られなかった。DNA 結合モチーフであるzinc finger motifを比較すると、タンパク質の立体構造形成に関わるとされるプロリンがmalRではアルギニンとなっているが、malRホモログではプロリンが保存されていることから、プロリンの存在の有無が酵母転写因子の相補に影響を及ぼしているわけではないものと考えられる。(2)マルトース、グルコース、グリセロールなどの各種炭素源を含む液体培養(高糖濃度培養も含む)や炭素源飢餓培養ならびに温度ストレス・酸化ストレスなどを与えた培養を行い、MALホモログクラスター構成遺伝子の発現を調べたが、malPやmalRの破壊株に見られたような発現上昇は認められなかった。(3)当初用いていたmalPとmalRの挿入破壊株が断片の脱落などにより性質が不安定であったため、あらためてmalPとmalRの置換破壊株の作製を行い、それぞれ目的とする破壊株を取得することができた。得られた置換破壊株の表現型を観察したところ、挿入破壊株と同様、デンプン培地とマルトース培地での生育が低下していることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験に用いる予定であったmalPとmalRの遺伝子挿入破壊株が断片の巻き戻りによる脱落のため表現型などの性質が不安定なことが分かったので、あらためてmalPとmalRの遺伝子置換破壊株の作製を行う必要が生じたことから、malPとmalPのホモログの二重破壊株およびmalRとmalRのホモログの二重破壊株の作製などをはじめとして、当初予定していた実験を行うことができなかったことによる。

今後の研究の推進方策

(1)malPとmalPのホモログの二重破壊株およびmalRとmalRのホモログの二重破壊株を作製し、マルトースやデンプン培地上での生育への影響やMALクラスター構成遺伝子の発現プロファイルを調べる。さらに、malPホモログとmalRホモログを構成的なプロモーターに連結して、それぞれmalP破壊株とmalR破壊株に導入することにより、破壊株が示すデンプン培地での低生育状況の回復を調べ、相補能の有無を明らかにする。malP破壊株に野生型のmalPを戻すことによって、ホモログの発現が野生株と同様に見られなくなるか調べる。また、MalPと同様にマルトース取込み活性を有していることが明らかな酵母のマルトーストランスポーターMAL61を破壊株に導入することにより、ホモログの発現への影響を観察する。(2)malR破壊株及びmalP破壊株にMalP及びMalT自体を構成的なプロモーター下で発現させ、ホモログの発現に及ぼす影響を調べる。また、相同性が若干低く構造は異なるものの機能は同一と考えられる、酵母MALクラスターのマルトーストランスポーターMAL61とマルターゼMAL62を麹菌破壊株で発現させることにより、タンパク質の構造がホモログクラスターの発現に影響するか調べる。(3)malP-malT及びmalPホモログ-malTホモログ間のプロモーター解析を行い、両者のプロモーターが双方向に機能している可能性について明らかにする。また、ゲルシフトアッセイとDNAフットプリント解析により、MalR及びMalRホモログが結合するプロモーター中のシスエレメントの同定を行う。さらに構成的に発現している転写因子のMalRとMalRホモログの活性化機構や細胞内局在についても解析する。

次年度の研究費の使用計画

実験に用いる予定であったmalPとmalRの遺伝子挿入破壊株が断片の巻き戻りによる脱落のため表現型などの性質が不安定なことが分かったので、あらためてmalPとmalRの遺伝子置換破壊株の作製を行う必要が生じたことから、malPとmalPのホモログの二重破壊株およびmalRとmalRのホモログの二重破壊株の作製を行うことができなかったこと、さらにmalPとmalRの破壊株を用いた発現プロファイル解析や相補実験などにも進めなかったことにより、次年度研究費が生じたものである。次年度研究費は今後の推進方策に記したような研究を進めるために翌年度請求研究費と合わせて使用する予定である。

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公開日: 2013-07-10  

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