メタゲノムスクリーニングは通常の培養法によるスクリーニングではアクセスすることのできない難培養性微生物ゲノム等にもアクセス可能な非常に有用な手法である。しかしながらメタゲノムスクリーニングでは環境中の全遺伝子をターゲットとするため、目的とする有用遺伝子をスクリーニングするためには多大なる労力と経費を必要とする。したがって、これを軽減した効率的なスクリーニング方法の導入が重要な課題となっている。 研究代表者はこれまでに、多孔質素材でできた鏃(やじり)を用いる手法を開発した。この鏃を土壌に埋設し、内部に試料を添加することにより、鏃表面及びその周囲の微生物叢が試料特異的に変化する。これを用いることで、メタゲノムスクリーニングにおいて前段階としての効果的な目的遺伝子の集積が行うことが可能であると考えられる。 滅菌土壌に鏃を埋設し、試料としてテトラデカン(液体)、フェノール(液体-固体)、ナフタレン(固体)を添加した。その後定期的に鏃周辺の土壌を採取し、鏃から浸透した試料の測定を行った。添加条件を検討することによって、それぞれ1ヶ月程度にわたって周辺環境にこれらが放出されることを確認した。 また、一定期間ごとに周辺土壌からDNAを抽出して16SrDNA及び、Alk、C12O遺伝子を増幅し、定量PCR-T-RFLP、DGGE法にて微生物叢の群集構造を定性的・定量的に解析したところ、鏃周辺には固有の微生物叢が形成されることを確認した。
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