研究課題/領域番号 |
23658068
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
野村 暢彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60292520)
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研究分担者 |
中村 幸治 筑波大学, 生命環境系, 教授 (40212097)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | メンブランベシクル |
研究概要 |
グラム陰性菌でメンブランベシクルと呼ばれる小胞体を細胞外に生産することが明らかとなっている。メンブランベシクルは外膜から遊離した直径20~250 nm の細胞外小胞であり、タンパクが多く含まれる。さらには微生物間コミュニケーションで用いられるシグナル物質の運搬体としても働いている。細胞外に放出されたベシクルは同種の細胞に融合することが観察されているが、果たして異種間でそのような現象が起こるのかについてはほとんど分かっていない。こうした知見を得ることはメンブランベシクルの生理的、生態的意義解明へ向けての第一歩となる。そこで、本研究ではPseudomonas aeruginosa により生産されたメンブランベシクルが異種細菌に融合するのかを調べた。本年度はその実験系の確立を行った。 Pseudomonas aeruginosaが生産したメンブランベシクルを回収し、それをFITCにより蛍光ラベリングした後に3回洗浄し、Bacillus subtilis, Pseudomonas putida, Pseudomonas stuzeri, Pseudomonas denitrificansに暴露した。30℃で2時間培養後、細胞を生理食塩水で洗浄し、細胞の蛍光強度を測定した。その結果、メンブランベシクルを暴露したサンプルでは蛍光が検出された。この結果は蛍光ラベルされたメンブランベシクルが細胞に融合したころを示唆している。今後はさらに様々な細菌種で同様の試験を行い、メンブランベシクルの宿主域を検討するとともにその意義について解明していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度はメンブランベシクルのグラム陰性さらにグラム陽性細菌への移行を確認することを目的としており、それらについてアッセイ系の構築に成功すると共に、証明が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
続いて、メンブランベシクルによるシグナルの伝達効率について詳細な解析を進める。具体的には、メンブランベシクル中に含まれるシグナルが、シグナル単独で細胞外に存在している場合と比較して、高いか否かを調べる。また、以上は、グラム陰性および陽性細菌に対しても調べることで、メンブランベシクルのシグナル運搬機能について明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
ベシクルに含まれるシグナルが受容菌の細胞内へ伝達されるかを検証し、ベシクルが異種細菌間コミュニケーションにおいてシグナル伝達の重要な役割を担っているかを明らかにする。 具体的には、i)シグナル(PQS)を含むベシクル、ii)シグナル(PQS)を含まないベシクル、およびiii)シグナル(PQS)のみ、それぞれによる受容菌への効果を比較することで、ベシクルが他の細菌へのシグナル運び屋として機能しているかを検証する。
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