研究課題/領域番号 |
23658073
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
高田 綾子 東京工業大学, 技術部, 技術専門員 (20401565)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | RNA代謝 / 抗生物質 / Hfq |
研究概要 |
Hfqタンパク質の過剰発現はFtsZタンパク質の合成低下を引き起こし、細胞分裂を阻害する。この分裂阻害を指標にし、Hfqの関わるRNA代謝を標的とした新規スクリーニング系を構築した。具体的にはHfqの発現がIPTG誘導可能な菌株JM109/pHFQ701を含んだ寒天プレート上に、サンプル溶液を浸み込ませたペーパーディスク(8 mm径)を置き、30℃で培養し、ペーパーディスクの周辺にコロニー形成が見られるようなサンプルを探索した。まず、既知の薬剤を用いて探索を行った結果、Rifampicinが濃度依存的に生育を回復することを見出した。Rifampicin はRNA合成阻害剤であり、RNA合成を介してHfqタンパク質の発現を調節している可能性が考えられる。これにより、本スクリーニング系が有効性であることが示された。続いて、連携研究者(東京工業大学 大学院生命理工学研究科 和地正明教授)がこれまでに収集した土壌分離菌のライブラリーを用いて、培養サンプルを直接プレートに置く方法で探索を行った。その結果、抗菌検定の標準菌としたコリネ型細菌の生育は阻害せず、菌株JM109/pHFQ701の生育を阻害するサンプルを見出した。これらのサンプルはグラム陽性菌には作用せず、グラム陰性菌に作用することが期待され、新規薬剤となる可能性がある。本スクリーニング系ではそのような化合物も探索できることが示された。構築されたスクリーニング系により、Hfqタンパク質の発現を抑制する化合物やHfqの機能を抑える化合物が見出されてくると考えられる。そのような薬剤が見出されることにより、細胞分裂および酸化ストレス防御機構、酸耐性機構に関与する遺伝子発現を抑制できると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響により研究の開始が遅れ、また、節電等により研究時間が減少したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に構築されたスクリーニング系を用い、連携研究者(東京工業大学 大学院生命理工学研究科 和地正明教授)所有のケミカルライブラリーおよびこれまでに収集した土壌分離菌のライブラリーを利用し、Hfqの関わるRNA代謝に作用する化合物のスクリーニングを押し進める。スクリーニングにより見出された化合物については精製および構造決定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は主に研究に必要な試薬、器具類の購入のための消耗品費として使用する。また、2013年3月に開催予定の「日本農芸化学会2013年度大会」において研究成果発表を行うための国内旅費として使用する。
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