研究課題/領域番号 |
23658075
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸野 重信 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40432348)
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研究分担者 |
日比 慎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30432347)
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キーワード | CoA |
研究概要 |
微生物を用いた有機酸や脂肪酸の変換反応には、エネルギー・補因子を要求する反応が数多く存在する。本研究では、有機酸や脂肪酸を用いた変換反応に利用されるエネルギー・補因子としてCoAやFADH2、NAD+などの再生系を構築し、有機酸、脂肪酸変換反応の効率化を目的とした。 1FAD・NADH関連 申請者が見出したリノール酸水和酵素CLA-HYは、補酵素にFADおよびNADHを必要とする酵素である。平成23年度では、CLA-HYとグルコース脱水素酵素GDHを同時に発現する形質転換体を作成した。平成24年度では、本形質転換体を用いてリノール酸水和活性を評価したが、GDHを発現した事による大幅な活性の上昇は確認できなかった。次に、本反応に必要な補酵素がFADおよびNADHであることから、FADおよびNADHからFADH2を生成する酵素の取得を試みた。CLA-HYを見出した乳酸菌Lactobacillus plantarumのゲノム配列を詳細に解析し、ある遺伝子配列に注目した。さらに本遺伝子配列を組込んだ形質転換体の作成に成功した。 2ATP・CoA関連 平成24年度では、モデル反応における分析系を確立し、本分析系を用いて微生物の探索を行った。その結果、ある微生物が、基質をCoA化した後、二重結合を飽和、最後にCoAを解離する事により、基質の二重結合を飽和化する事を明らかにした。しかし、選抜した微生物では、CoA化がATPを必要とする反応であったため、より効率的なCoA再生系を目指し、アシルCoA転移酵素の取得を試みた。その結果、基質とアセチルCoAから基質のCoA体および酢酸を生成する微生物および、生成物のCoA体と酢酸から生成物とアセチルCoAを生成する微生物の取得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二つの項目において研究を進めているが、共に必要なツールとなりうる酵素を含む微生物の取得に成功した。また、分析系の構築も完了している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では二つの項目について研究を進めているが、共にモデルとなる反応およびこれらの反応に必要となる微生物の取得に成功している。平成25年度では、これらの微生物を対象に、各種補酵素の再生系を構築し、モデル反応を用いた反応効率上昇を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では、主に消耗品等で研究費を使用する。また、本研究を推進するための有用な情報を収集するため、学会に参加する予定である。
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