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2011 年度 実施状況報告書

ポリアミン取り込み阻害を利用したバイオフィルム形成阻害剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23658079
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

鈴木 秀之  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10202136)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードポリアミン / プトレッシン / スペルミジン / カダベリン / バイオフィルム
研究概要

大腸菌はポリアミンとしてプトレッシン、スペルミジンとカダベリンを生合成でき、また菌体外から取り込むこともできる。スペルミジンは、プトレッシンを経て生合成される。まず、全てのポリアミンの合成酵素遺伝子を欠損させたKS13株(ΔspeAB ΔspeC ΔspeD  ΔspeF ΔcadA)とプトレッシンとカダベリンは生合成できないが、プトレッシンからスペルミジンを生合成できるKS11株(ΔspeAB ΔspeC ΔspeF ΔcadA)を作成した。プトレスシン、カダベリン、スペルミジンをそれぞれ添加したM9 galactose培地にKS13株を植菌し、バイオフィルム形成量をクリスタルバイオレット法で比較したところ、スペルミジンを添加した場合にのみバイオフィルム形成量が著しく上昇した。このことから、スペルミジンがバイオフィルム形成を促進していると考えられた。プトレッシンを加えた培地と加えていない培地にKS13株とKS11株を植菌し、バイオフィルム形成量を比較したところ、プトレッシンを加えた培地にKS11株を植えたときにのみ、バイオフィルム形成量が上昇していた。この条件下における菌体内ポリアミン濃度を測定したところ、スペルミジンが蓄積していたことから、細胞外から取り込んだ場合だけでなく、細胞内で合成されたスペルミジンも、バイオフィルム形成を促進すると考えられた。但し、いったん生合成されたスペルミジンが菌体外に排出され、その後再びスペルミジンが菌体内に取り込まれたときにバイオフィルムが形成されることも考えられる。これまでにプトレッシンとスペルミジンをde novo合成できず、かつバイオフィルム形成に関与するプトレッシンあるいはスペルミジントランスポーターの1つを残し他のポリアミントランスポーターを欠損した株をすでに作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

菌株の育種に手間取ったため、どのトランスポーターがバイオフィルム形成に直接関与しているかの同定ができていない。これまでにプトレッシンとスペルミジンをde novo合成できず、かつバイオフィルム形成に関与するプトレッシンあるいはスペルミジントランスポーターの1つを残し他のポリアミントランスポーターを欠損した株の作成は完了している。早急にトランスポーターを同定する計画であるが、菌体外からスペルミジンを取り込んでも、プトレッシンを取り込んだのちスペルミジンに変換しても、バイオフィルムは形成されるので、トランスポーターは複数関与することも十分考えられる。

今後の研究の推進方策

プトレッシンとスペルミジンをde novo合成できず、かつバイオフィルム形成に関与するプトレッシンあるいはスペルミジントランスポーターの1つを残し他のポリアミントランスポーターを欠損した株を用いて、どのトランスポーターがバイオフィルム形成に直接関与しているかを同定する。バイオフィルムはマイクロプレートの中で作成させ、クリスタルバイオレット染色により定量する。被験化合物として化合物ライブラリーを購入する。マイクロプレートで菌株を培養する際の培地に被験化合物を加えて培養する。バイオフィルム形成量が明らかに少ないウエルに入れた化合物から、一般的な特異性の低いトランスポーター阻害剤(ATPase阻害剤や脱共役剤)を除外する。化合物濃度を10分の1、100分の1にして、同様に阻害実験を行う。菌体内へのスペルミジンの蓄積量が明らかに少なくなった化合物について、C-14でラベルした放射性ポリアミンを用いて、候補化合物がポリアミンの取り込み阻害を示すことを確かめる。

次年度の研究費の使用計画

化合物ライブラリーの購入に多くの費用が必要である。また、菌体内に取り込まれたポリアミン量をHPLCで測定するが、その際の消耗品費やまたRIラベルしたポリアミンの購入の費用に充てる計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Regulation mechanism of the putrescine utilization pathway by the transcription factor PuuR in Escherichia coli K-12.2012

    • 著者名/発表者名
      N. Nemoto, S. Kurihara, Y. Kitahara, K. Asada, K. Kato, and H. Suzuki.
    • 雑誌名

      Journal of Bacteriology

      巻: 194 ページ: 3437-3447

    • DOI

      doi:10.1128/JB.00097-12

    • 査読あり
  • [学会発表] 大腸菌におけるバイオフィルム形成とポリアミンの関係.2011

    • 著者名/発表者名
      掛川苑美、鈴木秀之
    • 学会等名
      第3回日本ポリアミン学会年会
    • 発表場所
      さいたま市民会館おおみや
    • 年月日
      2011年1月26日

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公開日: 2013-07-10  

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