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2012 年度 実績報告書

ラクティシンQはなぜスーパーバクテリオシンなのか?

研究課題

研究課題/領域番号 23658081
研究機関九州大学

研究代表者

園元 謙二  九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10154717)

キーワード乳酸菌 / バクテリオシン / ラクティシンQ / 選択的抗菌活性 / Huge Toroidal Poreモデル / 孔形成 / 細胞膜成分 / 脂質構成成分
研究概要

1. ラクティシンQ(LnqQ)が形成する孔のサイズ測定と作用機構の解明
LnqQの細胞膜上における分子挙動を解析した結果、LnqQは両親媒性のα-helixを保持して負電荷の膜に直ちに結合した。また、flip-flopを伴い、直径4.6 nm以上の巨大な孔を形成して、菌体内の物質流出を引き起こした後、一部のLnqQ分子は膜の内部に移動した。このようなバクテリオシンの報告はなく、LnqQの作用機構をHuge Toroidal Poreモデルと命名した。
2. LnqQの選択性を決定する細胞膜成分の同定
LnqQはグラム陰性細菌外膜を透過できなかった。また、グラム陽性細菌を模したリポソーム(PC/PG = 5:5)と比較すると、グラム陰性細菌の外膜の内側に存在するフォスファチジルエタノールアミン(PE)と外側に存在するリポ多糖(LPS)をそれぞれ混合したリポソーム(PE/PG = 5:5、PC/PG/LPS = 5:3:2)では、LnqQの孔形成能はわずかに低下した。一方、外膜全体を模したPEとLPSを混合したリポソーム(PE/PG/LPS = 5:3:2)では、LnqQの孔形成能が劇的に低下した。しかし、LnqQは外膜に結合することも示された。よって、LnqQは外膜に結合はするもののPEとLPSが複合的に孔形成を阻害することが示された。動物細胞に豊富に含まれるコレステロール(Cho)および真菌に豊富に含まれるエルゴステロール(Erg)を含むリポソーム(PC/Cho = 9:1、PC/PG/Erg = 4:5:1)では、LnqQは結合するものの孔形成能は顕著に低下したことから、真核細胞の細胞膜中に多く存在するステロール類が、LnqQの孔形成を阻害することが示された。以上の結果から、LnqQの選択的抗菌活性は、標的細胞膜の脂質構成成分に依存することが明らかになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Bifunctional gene cluster, lnqBCDEF, mediates bacteriocin production and immunity with differential genetic requirements2013

    • 著者名/発表者名
      Shun Iwatani, Yuko Horikiri, Takeshi Zendo,Jiro Nakayama & Kenji Sonomoto
    • 雑誌名

      Applied Enivironmental Microbiology

      巻: 79 ページ: 2446-2449

    • DOI

      DOI:10.1128/AEM.03783-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of the genes involved in the secretion and self-immunity of lacticin Q, an unmodified leaderless bacteriocin from Lactococcus lactis QU 52012

    • 著者名/発表者名
      Shun Iwatani et al.
    • 雑誌名

      Microbiology

      巻: 158 ページ: 2927-2935

    • DOI

      DOI 10.1099/mic.0.062943-0

    • 査読あり
  • [図書] 新しい乳酸菌の機能と応用2013

    • 著者名/発表者名
      澤 稔彦ら
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      シーエムシー出版
  • [備考] 九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門分子微生物学・バイオマス資源化学講座微生物工学分野

    • URL

      http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/microbt/

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公開日: 2014-07-24  

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