PGDR/GHITM(Prothoracic gland derived receptorGrowth /Hormone-inducible trans-membrane protein)は成長ホルモンのシグナルを阻害させた脂肪細胞で発現が顕著に低下する遺伝子として単離された機能未知の7回膜貫通タンパク質である。GHITMは哺乳類では脂肪組織、肝臓、腎臓をはじめとした様々な組織で、昆虫においては脂肪体等で高発現していること、脂質代謝に関与していることが知られているペルオキシソームに局在しているという予備的な結果から、動物種を越えたエネルギー代謝を制御するのではないかと仮説を立て、GHITMの機能について解析した。 これまでに、N末側、C末端側のペプチドに対する抗体を作製し、Ghitmの細胞内局在について免疫染色を行ったところ、ペルオキシソームよりもむしろミトコンドリアに局在することを発見した。また、GHITMを過剰発現させたHeLa細胞においては、ミトコンドリアトラッカーで染色されずミトコンドリの恒常性が破綻していることが示唆された。一方、カイコPGDR/GHITMの抗体を作製して、免疫染色を行ったところ、マウスのGHITMの結果と同様に、カイコPGDR/GHITMが過剰に発現すると、ミトコンドリアトラッカーで染色されず、細胞が死滅する傾向があることがわかった。 さらに、GHITMの脂質代謝に関わる機能について、野生型マウスとGHITM欠損マウスの血液中の肝臓、腎臓、血清中のC12~C18の脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸)の組成についてHPLCにより解析を行った。GHITM欠損マウスは野生型マウスと比較して、他の脂肪酸に対するオレイン酸の比率が上昇する傾向がみられた。
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