研究課題
枯草菌のComXフェロモン以外でトリプトファン残基のイソプレニル修飾が発見された例はない。しかし、システイン残基のイソプレニル修飾の普遍性が明らかにされていることなどを踏まえるとトリプトファン残基のイソプレニル修飾も普遍的に存在する可能性が高いと予想された。そこで、本研究ではComXフェロモンにおけるトリプトファン残基のイソプレニル修飾の普遍性を検証することを目的とした。まず、イソプレニルトリプトファンを含有したハプテンを合成した。これを基にポリクローナル抗体を作製したものの抗体価が低く、実際に検出に使用することは困難であると考えられた。そこで、RO-E-2株由来のComXRO-E-2フェロモンの修飾トリプトファン残基におけるゲラニル基が生理活性に必須であることを証明するために、有機合成により各種イソプレニル変異ComXフェロモンを合成し、それぞれの生理活性の比較を行った。その結果、ゲラニル基の2重結合を還元するだけでほとんど活性を消失することを見いだし、側鎖のゲラニル基の化学構造は活性発現に重要であることが判明した。次に、分子生物学的手法によりcomQの過剰発現大腸菌を作製した。得られた修飾酵素ComQの反応条件を検討し、この酵素が金属Mg2+を必要とすることを見いだし、in vitro ComQ酵素反応によるComXのイソプレニル化活性をLC-MSを用いて評価する条件を確立した。最後に、他の生物種からイソプレニルトリプトファン含有ペプチド候補を選別し、分子生物学的手法によりcomQX候補の過剰発現大腸菌を作製したが、両候補とも発現しなかった。今後はベクターの種類、配列などを検討し、comQX候補過剰発現大腸菌を作製し、その後、構築した検出法を適用する予定である。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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