研究概要 |
24年度は、苦味物質の官能検査と苦味レセプターの一塩基多型の関連性の研究手法を確立できた。具体的な苦味物質として3種類のジペプチドGly-Phe、Gly-Tyr、Ala-Trpと、代表的な苦味物質であるPROPやブロッコリー抽出液等を用い、gLMS法により苦味強度を評価した。TAS2R遺伝子の解析では、被験者の口腔内粘膜細胞からDNAを調製し、TAS2R1, 4, 19, 38, 44, 45等をPCRにより増幅した。研究手法は確立できたものの、残念ながらブロッコリー抽出液に応答するTAS2Rは同定できなかった。しかし、カフェイン等の他の苦味との関連性は認められた。すなわち、TAS2R44、45のハプロタイプを解析した結果、TAS2R44では3つのハプロタイプ(WMVI、RLAV、RMAV)、TAS2R45で2つのハプロタイプ(CMHLCTW、YVQFRR*)が観察された。 肝臓解毒酵素のGSTsの多型については、TAS2R38との関連性について検討してきて、ある程度の成果は得られた。すなわち、TAS2R38の遺伝子多型の違いの観点から分類を行ったところ、GSTM1とGSTT1の遺伝子頻度の2つとも-(マイナス)であるnull typeはハプロタイプAVI/AVIには0人、PAV/AVIは8人、PAV/PAVでは7人という結果であった。この関連性については、さらに現在追及している。さらにGSTM1の有無だけで見るとPAV/PAVとPAV/AVIは等量あるにもかかわらずAVI/AVIはGSTM1+が多いことが明らかとなった。今後の研究で、被験者の尿中代謝物をモニタリングすることを介して、さらにisothiocyanate類の代謝系(解毒酵素の個人差)を特定することに応用していきたい。
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