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2012 年度 実施状況報告書

アレルゲン分子構造情報とタンパク質発現情報を援用した食品アレルゲンの再評価

研究課題

研究課題/領域番号 23658110
研究機関名古屋大学

研究代表者

松田 幹  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20144131)

キーワード食物アレルギー / 吸入アレルゲン / 組換えアレルゲン / 相同解析
研究概要

花粉のような吸入アレルゲンと類似の配列を持つ食物アレルゲンでは、吸入アレルゲンに対して産生されたIgE が食物タンパク質と交差反応するケースが相当数存在すると予想された。そこで、本研究ではアレルゲンデータベースとプロテオーム情報を活用して交差反応性タンパク質を探索・同定し、アレルギー患者血清IgEとの反応特性を明らかにすることを目的に、アレルゲンデータベースに登録されているアレルゲンタンパク質(食物アレルギーのみならず花粉症や喘息など全てのアレルギーを含む)のアミノ酸配列情報と、プロテオーム解析とトランスクリプトーム解析によって得られた個々の動植物組織の可食部(食物)で発現、存在するタンパク質のアミノ酸配列情報を比較し、配列の類似性から、潜在的にアレルゲン性を持つと推定されるタンパク質を選抜した。これらの中で、いくつかの候補タンパク質分子についてcDNAを取得し、大腸菌発現ベクターに組み込んだプラスミドを構築した。大腸菌を形質転換して過剰発現を誘導し、タグを用いた親和性クロマトグラフィーによって分離精製し、SDS電気泳動により純度を検定した。これらの組換えタンパク質のアレルゲン性(IgE反応性)を評価するための、微量、高感度アッセイ系の条件検討を行った。食物アレルギーが疑われる患者の血清を用いて、組替えタンパク質との反応性を予備的に解析した。いくつかの組換えタンパク質はIgEとの結合性を示した。一方、IgEとの反応性をほとんど示さなタンパク質もあり、さらに検体数を増やして解析を進める必要があると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

作物可食部のプロテオームデータベースで発現が確認されているタンパク質の中で、既知のアレルゲンと類似の構造(アミノ酸配列)を持つ分子を探索し、大腸菌で組換えタンパク質として発現させることができた。初年度では発現コンストラクトの作成にやや時間がかかり予定よりも遅れていたが、今年度の努力により、ほぼ予定通りに進捗した。さらに、これらの組換えタンパク質について患者血清IgEとの結合性を解析し、予備的なデータを得ることができた。これも予定よりは若干の遅れがあるものの、ほぼ予定どおりの進捗と考える。

今後の研究の推進方策

前年度までの研究により、配列に相同性(類似性)が認められた既知アレルゲン、および可食部タンパク質の中からより重要と思われる分子を選抜し組換えタンパク質として大腸菌で発現させ、一部の患者の血清を用いてIgEとの結合を解析した。ここまでの成果により、確かにアミノ酸配列が何らかの既知アレルゲンに類似性を示す食物タンパク質には実際に患者血清IgE抗体との反応性を示す場合もあり、このような一次構造の類似性から食物アレルゲン候補の第一スクリーニングを行うことは意味がある可能性が示された。今後は、さらに血清検体数を増やして解析し、このようなアプローチによる潜在的アレルゲン性の評価の有効性を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、残りの組換えタンパク質の発現と分離精製を完了させるとともに、進捗が遅れているIgEとの反応性の解析を進める。繰越した研究費は、当初の予定通り、発現タンパク質の分離・精製や血清IgE抗体の分析に必要な酵素標識抗体や酵素活性測定用の基質などの試薬類や各種チューブや酵素抗体法に用いるELISAプレートなどのプラスチック器具類などの消耗品に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 腸管免疫と腸内微生物および食品因子2012

    • 著者名/発表者名
      松田 幹
    • 学会等名
      日本食物繊維学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121123-20121123
    • 招待講演
  • [備考] 名古屋大学大学院生命農学研究科分子生体制御学研究分野

    • URL

      http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~molreg00/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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