研究課題/領域番号 |
23658112
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神戸 大朋 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (90303875)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 亜鉛欠乏 / 亜鉛トランスポーター / 食品因子 / 消化管吸収 / 大豆抽出物 |
研究概要 |
亜鉛は、味覚、免疫、神経機能に重要な必須微量栄養素である。そのため、亜鉛の不足は、これら機能に重篤な影響を与える。近年、我が国では高齢者を中心に潜在的な亜鉛欠乏患者が多数いることが明らかにされ、その拡大が懸念されている。現在、亜鉛欠乏に対する効果的な予防法の確立が望まれている。亜鉛の吸収は、小腸上皮細胞に発現する亜鉛トランスポーターZIP4を介して行われており、ZIP4は体内亜鉛含量を統括する鍵分子である。そのため、本研究は、ZIP4の発現を増加させる食品因子(亜鉛吸収促進因子)同定し、その効果について詳細な解析を実施することを目的に実施した。 様々な食材・食品から酸・アルカリ、メタノール、酢酸エチルなどを用いて抽出画分を調整し、先に樹立した培養細胞を用いたin vitro screening系を用いてスクリーニングした結果、幾つかの大豆抽出物にZIP4の発現を促進させる活性を見出した。ZIP4の発現増加に応じて、細胞内の亜鉛含量が増えるかどうかについて、亜鉛濃度に応じて発現が上昇するメタロチオネインプロモーターを用いたアルカリフォスファターゼ活性を測定した結果、大豆抽出物の濃度依存的にアルカリフォスファターゼ活性を増加させることが判明した。従って、この抽出物中には、ZIP4発現を促進させ、細胞内亜鉛量を増加させる活性を有する因子が含まれることが期待される。現在、活性成分の単離同定を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食品素材の中から、大豆抽出物にZIP4発現を促進させ、細胞内亜鉛量を増加させる活性が含まれることを見出し、その精製を開始するまでに進展しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
中圧カラム等を用いたクロマトグラフィーによって、大豆抽出物中の分画を進める。最終的には、HPLCカラム等を用いて単一成分まで精製した後、NMR解析を行って構造決定する計画を立てている。さらに、動物実験にて活性因子の亜鉛吸収促進効果を検証する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
中圧カラム等を用いたクロマトグラフィーによって、大豆抽出物中の分画を進める。最終的には、HPLCカラム等を用いて単一成分まで精製した後、NMR解析を行って構造決定を行う。
|