今後の研究の推進方策 |
平成23年度の検討から脂質ラフトへの移行阻害が明らかになったものについては、カロテノイドが脂質ラフトそのものの機能に与える影響を解析するために、その構成成分を解析する。前述のように脂質ラフトは、スフィンゴ脂質とコレステロールに富むマイクロドメインである。そこで生化学的手法により調製した脂質ラフトの脂質組成について、研究代表者が以前に確立したHPLC-ELSD による定量解析法(Lipids34, 1231, 1999; J. Oleo. Sci. 59, 509, 2010)とLC-MS/MS による化学構造の解析法(Lipids 45, 451,2010; J. Oleo Sci. 59, 387, 2010)の応用を試みる。 さらに受容体の脂質ラフトへの移行を指標とした免疫制御機能成分の新規スクリーニングアッセイについて、蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer, FRET)反応を利用した開発を試みる(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103, 8143-8148, 2006)。それぞれ免疫担当細胞を用い、細胞に特異的な受容体と脂質ラフトをドナーとアクセプターの2種類の蛍光色素(5-FAM と5-TAMRA あるいはAlexa Flour532 とQSY7 のペアなど)でラベリングし、蛍光プレートリーダーを用いて、受容体が脂質ラフトに移動したときにFRET 反応によって増強された特定波長の蛍光を検出することで、高感度かつハイスループットに定量する方法を検討する。最適な実験条件を確立し、脂質ラフトを介した免疫機能制御物質の探索へと応用する。
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