研究課題
食品中の変異原性発がん物質に対して、非変異原性発がん物質はその発がんメカニズムの詳細は明らかでない。また、遺伝子の上流領域に存在するプロモーター領域のメチル化量によって、遺伝子の発現量が変化するなどの、後天的な遺伝子発現の制御(エピジェネティクス)に対する知見が集まりつつある。特に、P450遺伝子のエピジェネティック制御に関する研究報告は最近増加しており、新しい知見への期待が高まっている。そこで、本研究では、食品成分とP450、トランスポーターとの相互作用を解析しすることで、総合的な食品相互作用の解析を試みた。ヒト肝臓がん由来培養細胞株であるHepG-2にITC類の溶媒として用いたDMSOをおよび、本研究で用いた各ITCを混合した培地に曝露させた。ITC類を曝露した培養細胞中のmRNAを定量PCRで分析した。CYP1A2遺伝子において、methyl ITCを添加した場合に発現が抑制されることが判明した。次に、強力な脱メチル化剤である5-aza-dCを添加し、各P450遺伝子の発現量がどのように変化するかを定量PCRを用いて解析した。その結果、CYP1A2遺伝子において、5-aza-dC添加によって、MP ITC 10μM添加時の発現量が著しく抑制されているという結果が得られた。本結果は、CYP1A2遺伝子の上流領域に、CYP1A2遺伝子の発現を抑制する遺伝子配列が存在している可能性を示唆している。すなわち、CYP1A2抑制遺伝子の上流領域にあるプロモーターが脱メチル化され、発現が誘導されることで、CYP1A2遺伝子の発現が抑制された可能性が示唆された。
すべて 2013
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International Journal of Bioscience, Biochemistry and Bioinformatics
巻: 4 ページ: 33-38
10.7763/IJBBB.2014.V4.306