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2011 年度 実施状況報告書

高温のフライ油中に長期滞留する凝縮水の存在状態の解明とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 23658117
研究機関広島大学

研究代表者

羽倉 義雄  広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (50237913)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード高温油中水 / W/O型エマルション
研究概要

揚げ種から水蒸気として蒸発した水は、100℃以上のフライ油中で再凝縮し、W/Oエマルション状態になる。そこで、2つの過程『(1)フライ調理において揚げ種から蒸発した水蒸気が高温のフライ油中で再凝縮する過程、(2)再凝縮した水がW/Oエマルション状態となり安定化する過程』に分けてこの現象を解析した。具体的には、100℃以上のフライ油中に液体の水がなぜ存在できるのか、そのメカニズムを明らかにすることを本研究の目的とした。 加圧分光分析装置の製作:亜臨界状態を再現できる耐圧セルを作成した。さらに、高温油中で顕微鏡観察および分光分析が可能な分析装置を製作を行った。耐圧セルと顕微ビデオシステムまたは時分割分光光度計を組み合わせ、亜臨界状態の高温油中水(W/O型エマルション粒子)の存在状態の観察・計測および吸収スペクトルの測定を可能にすることを目指した。現在、顕微鏡観察は可能となり、エマルションの観察、粒子径測定が可能になった。また、時分割分光光度計の組み込みを行っているが、接続部分の改造が遅れているため、分光分析は行えていない。この研究の予備試験として、高粘度液相(シリコン油、ペクチン溶液、ヨーグルト)内での気泡及び液泡の検出方法の検討を行い、比較的低周波数帯域での電磁気学的な計測手法で、気泡及び液泡の検出が可能であることを明らかにした。 加圧下での高温油中水の生成メカニズムの解明:加圧分光分析装置内のフライ油中に水蒸気を導入し、高温油中水の生成過程の測定を行った。加圧下の高温油中水の生成条件(蒸気の温度・圧力、フライ油の温度)、粒子径の変化、寿命(凝縮水が再び蒸気となって系外に排出される過程)を測定し、粒子内部圧力の推定を試みた。現在、内部圧力をもとに加圧水の状態図を作成中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

耐圧セルと時分割分光光度計を組み合わせるための改造が遅れているため、分光分析による高温油中水の存在状態(液相か水相か)の確定が行えていない。しかし、密度等の測定結果から得られる情報も判定材料となるため、大きな遅れとは考えていない。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に基づき、研究を推進する。常圧下での高温油中水の安定化メカニズムの解明:水の誘電率は、温度・圧力のほか、分散状態によっても変化することが知られている。そこで、開放系の油槽および加圧分光分析装置内に平行平板電極を設置し、試料の誘電率を測定する。測定した系全体(高温油中水+フライ油)の誘電率と連続相であるフライ油の誘電率から、高温油中水のみの誘電率を算出し、高温油中水の物理化学的状態を明確にする。また、加圧分光分析装置の内部圧力を徐々に常圧まで戻し、エマルションの動的な消長(液相or気相、粒子径変化,寿命)を測定する。初期の粒子径から消滅時の粒子径までの変化から,エマルション内部の物理化学的状態を明確にし,常圧下での高温油中水の安定化メカニズムを解明する。

次年度の研究費の使用計画

本年度購入予定であった水晶振動子化学計測装置の納入が遅れている。この装置を次年度の早期に購入する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ヨーグルトに分散した気泡が誘電特性に及ぼす影響2012

    • 著者名/発表者名
      井口亮、川井清司、羽倉義雄
    • 雑誌名

      日本食品工学会誌

      巻: 13 ページ: 13-20

    • 査読あり
  • [学会発表] 誘電特性を利用したヨーグルトの定量的評価に関する研究

    • 著者名/発表者名
      井口亮、川井清司、羽倉義雄
    • 学会等名
      日本食品工学会第12回年次大会
    • 発表場所
      京都市京都テルサ
    • 年月日
      2011年8月6日

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公開日: 2013-07-10  

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