研究課題として、「高温油中水の排除方法の検討」および、「高温油中水の長期安定化方法の確立」を目指した。 高温油中水の安定性の制御因子として,W/Oエマルション中の水滴部分の内部圧力(P),粒子径(V),温度(T)に注目した.高温油中水の内部圧力(P)または温度(T)を上昇させ,高温油中水の排除を可能にする方法を検討した.検討の結果、高温油中水はマイクロサイズエマルションとして存在しており、比較的高い安定性を維持していることが明らかとなった。さらに、温度上昇により、油中の水分量の減少速度が速くなった。以上のことから、油の温度を変化させることにより、高温油中水の排除速度を制御できることが明らかとなった。 次に、高温油中水の粒子径をより小さくすることで,ラプラス圧を増大させ,エマルション粒子の耐圧性を高めることで,長期安定化を可能する方法について検討を行った.油中に高温の水蒸気を吹き込むことにより、粒子径の異なる高温油中水を作成し、粒子径と高温安定性(油中の水分量の減少速度)との関係を評価した。その結果、高温油中水の平均粒子径が小さいほど、高温安定性が高い(油中の水分量の減少速度が遅い)ことが明らかとなった。しかし、高温油中水の平均粒子径を極端に小さく(例えば、ナノサイズ)することはできなかった。以上のことから、粒子径を制御することにより、高温油中水の長期安定化の可能性を示すことができた。
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