研究課題
オートファジーを誘導することでミトコンドリアの品質管理に貢献する食品成分を探索することを目的として、25年度では昨年度までに引き続き培養細胞(HeLa)を用いた作用機構の解析を試みるとともに、HeLaにも炎症反応との関連の焦点を当てマクロファージ細胞(J774-1)を用いた解析を試みた。これまでオートファジーマーカーLC3とp62について評価を実施してきたが、これらは遺伝子発現レベルが変動する場合、オートファジーマーカーとして解釈が困難になることが指摘されている。J774-1に対する各種食品由来ポリフェノール類の作用を検討したところ、いくつかのフラボノイド類においてp62mRNA発現の顕著な亢進が認められた。HeLaを用いた際に認められたAkt/mTOR経路の阻害を介したオートファジー促進は認められなかった。このように、食品成分によるオートファジー誘導機構には、細胞種による大きな差異があることが示唆された。そこで、J774-1におけるフラボノイド類の作用機構について検討を行ったところ、ケルセチンをはじめとするフラボノール類において、転写因子Nrf2の核内移行が認められた。Nrf2はp62遺伝子を標的の一つとする転写因子であることから、これらフラボノール類はNrf2を介してp62発現を亢進することによりオートファジー活性に貢献する可能性が示唆された。また、ケルセチン処理によりあらかじめp62発現を亢進させたJ774-1においては、リポ多糖(LPS)およびATP処理により誘導されるIL-1β産生が有意に減少した。よって、p62発現誘導はIL-1βのオートファジー分解の促進に寄与する可能性が示唆された。このように、従来型のオートファジーマーカーの変動のみならず、オートファジー関連分子の遺伝子発現制御に着目することで、食品成分による新たなオートファジー誘導機構が示唆された。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
PLoS One
巻: 8 ページ: e80843
10.1371/journal.pone.0080843
巻: 8 ページ: e58641
10.1371/journal.pone.0058641