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2012 年度 実施状況報告書

林内をビデオ撮影しながら歩行することで毎木調査を可能にするシステムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23658129
研究機関島根大学

研究代表者

米 康充  島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (30467716)

研究分担者 小熊 宏之  独立行政法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (10342734)
キーワード森林計測 / 写真測量 / Match Move
研究概要

当年は昨年度に引き続きカメラトラッキングの技術として、Match Move技術を使用して実験を行った。昨年度の結果では直線的なカメラの動きの検出は可能であったが、ヨー回転を含む動きの検出に失敗する問題があった。この課題に対しては、ラフな位置決定から詳細な位置決定へと複数回繰り返すこと、1フレーム毎のマッチングポイント数を増やすことにより、森林の様な幾何学的ではない、かつ明瞭な特徴点の無い複雑な画像に対しても、Match Move技術が使用可能であることが明らかになった。
次にカメラトラッキングに成功した複数画像からのステレオペアを作成し、森林内の点群データを作成した。作成された点群データはその元画像となるフレームによって、正常な点群を作成できるものもあれば、点群を作成できないもの、作成された点群がゆらいでいるもの等があった。この原因としてMPEG4圧縮による画像および画像位置の劣化が考えられた。そこで、複数フレームにわたって同一点とみなせる点を抽出し、それら複数の画像から点群抽出を行うことで、安定した点群を抽出することに成功した。さらに抽出した点群から、円柱近似モデルを作成することで、胸高直径は誤差平均+1.7±4.4cm、立木位置は誤差平均0.129±0.062mで計測することに成功した。また、上記の解析は1時間以内で実施可能であった。ただし、ビデオカメラの撮影点から7m以上離れた場所にある立木の計測誤差が大きくなる傾向がみられた。
以上の結果から、林内をビデオ撮影しながら歩行することで毎木調査が可能であることが明らかとなった。また、7m以上離れた場所で計測誤差が大きくなる問題も、ビデオのヨー回転が可能となった結果から、複数点からの計測が容易に実施できることから、解決可能であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実用化を考慮した場合、傾斜地での計測手法を開発する必要があるが、傾斜地での計測に必要な林床の計測が困難であったこと、さらに平地林での計測手法開発に注力したため林床計測の課題解決に至っていない。また、広葉樹林や天然林での計測可能性についても明らかにしていく必要がある。しかしこれまでの研究で、ビデオ画像から立木計測する手法の基本的な部分は確立でき、林内をビデオ撮影しながら歩行することで毎木調査が可能であることが明らかとなったことから、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

課題の残った傾斜地での計測実験を実施する。傾斜地においては、立木点群の抽出に有効であった複数フレーム間で同一点を抽出する方法で林床の抽出を試みる。林床の抽出が可能となれば、米,2006がレーザスキャナ計測システムで開発した傾斜地補正方法を用いて傾斜補正が可能となると考えられる。また、広葉樹林および天然林において計測を行い、林分タイプ別の計測の可能性と胸高直径・立木位置の計測精度、および計測作業に必要な人工数を明らかにする。以上の情報を元に、実利用への可能性についての考察を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度にMatchmoveを用いた実験を行い、計測結果の精度評価と傾斜地での計測方法開発を実施し、その結果をシンポジウムで発表する予定であった。しかし、傾斜地での計測方法の開発で林床計測および傾斜角度の取得に課題があり、その解決に時間がかかっている状況であった。したがって、これら課題の解決がつくまで一部実験およびシンポジウムへの参加をとりやめたことから、平成24年度には未使用額が生じた。
平成25年度においては、未解決になっている傾斜地での解決および林分タイプ別実験を行うために、昨年度に引き続き調査旅費および実験機材費、解析補助謝金の支出を行う。また、本研究成果の一部を発表するため、昨年度とりやめたシンポジウムへの参加旅費・参加費の支出を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ビデオ撮影を用いた森林調査法

    • 著者名/発表者名
      米 康充・小熊 宏之
    • 学会等名
      第124回日本森林学会大会
    • 発表場所
      岩手大学(盛岡市)

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公開日: 2014-07-24  

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