研究課題
本研究においては,土のダイレイタンシー特背に基づく,土のひずみ増分比(=せん断ひずみ増分/垂直ひずみ増分)が斜面内の応力を表す指標となり,これを用いて斜面崩壊発生予測が可能であるかどうかを,模型実験により検討した.模型実験は降雨による斜面崩壊発生を模擬した実験と,斜面の切土による斜面崩壊発生を模擬した実験の2タイプを実施した.前者の実験は,斜面勾配30°,幅1.5m,深さ0.5m,長さ6mの筑波山まさ土を用いた模型斜面を作成し,そこに30mm/hの定常降雨強度の人工降雨を与えて,斜面の変形を計測した.発生した斜面崩壊のすべり面は斜面上下端を除くとほぼ斜面表面および底面に平行な形状であった.このすべり面に平行な方向のせん断ひずみと,すべり面に垂直な方向の圧縮ひずみを,計測結果より算出し,せん断ひずみと圧縮ひずみの関係と,ひずみ増分比(=圧縮ひずみ増分/せん断ひずみ増分)の関係を検討した.この結果せん断ひずみ増加に伴い,圧縮ひずみ増分が減少して,圧縮膨張の生じない中でせん断の進行する限界状態に近づくことが確認された.次に切土による斜面崩壊発生を検討するために,遠心載荷装置を用いて小型模型であっても応力レベルは実大並みとした中で,小型模型の斜面の切土実験を行った.模型は細粒分を含む(1) 成田砂を用いた勾配60°(40G),(2) 成田砂で勾配75°(40G),(3) 細粒分をほとんど含まない川砂を用いた勾配60°(20G),の3ケースとした.実験の結果,(1)(2)では斜面崩壊が発生せず,(3)では崩壊が発生した.ただし(3)においては,鉛直2次元座標系における水平方向のせん断ひずみが計測されず,鉛直方向の圧縮ひずみのみ計測される結果となった.また(1)(2)では崩壊が発生する前の斜面の変形は,水平方向のせん断ひずみと鉛直方向の圧縮ひずみが線形に増加する結果となった.
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