プロモーターの機能解析に先行して、ペリプロカの乳管位置を特定するための方法を確立した。スペクトル共焦点レーザー顕微鏡(SCLSM)を用いてラテックスの波長特性を調べた。この結果励起波長561 nmにおいて、ラテックスは赤色蛍光で観察されることがわかった。そこで、SCLSMを用いた蛍光部位とオイルレッドOを用いた染色部位とを比較したところ、両方の発現部位一致に一致がみられた。このことから、ペリプロカの乳管はオイルレッドOを用いて染色された部位と一致していることが明らかとなった。 乳管特異的プロモーターの発現解析として免疫組織化学染色法を用いる方法を確立した。その方法は以下のようであった。① GFPと目的プロモーター(REFpro)を連結したベクターを構築し、これをペリプロカへ導入する。② 再分化したペリプロカから組織切片を作成し、免疫組織化学染色によりGFPの発現部位を明視化する。③ 免疫組織化学染色に用いた切片と同時に作成した隣接切片をオイルレッドOで染色し、乳管位置を明らかにする。④ GFPとオイルレッドOの発現部位を比較し、それらの一致度を確認する。以上の方法を用いてREFproの発現解析を行った。GFPの発現部位はオイルレッドOで染色された部位と重なったが、それ以外の部位でも発現した。このことから、REFproは乳管に加えてそれ以外の細胞でも機能していることが明らかになった。本研究で確立された乳管位置の特定法と乳管特異的プロモーターの発現解析法は、他のプロモーターへの適用が可能であり、その成果が期待される。
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