研究課題/領域番号 |
23658137
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
秋庭 満輝 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (50353553)
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キーワード | 土壌線虫 |
研究概要 |
生物多様性の保全を考慮した森林管理手法の開発のため、様々な生物群で多様性指標の開発を目的とする研究が進められている。しかし、その多くが地上部の昆虫類や菌類を対象とする研究であり、その重要性とは裏腹に、地下部(森林土壌)を対象とした研究例は非常に少ない。森林全体の生物多様性を評価するには、森林の地上部から地下部までを総合的に考慮する必要がある。本研究は、日本の代表的な森林であるブナを中心とした広葉樹天然林と伐採後に植栽されたスギ人工林の土壌線虫相を明らかにし、これらを比較することにより、森林地下部に対する生物多様性指標としての土壌線虫の有効性を検証することを目的としている。 本年度は、土壌線虫相の年次変動について検討するために、前年度に設置した青森県白神地域のブナ天然林と近接のスギ人工林について、線虫分離用の土壌を採集した。採集した土壌から線虫を分離し、形態的観察に顕微鏡プレパラートを作製するとともに、DNAバーコード用によるタイピング用のサンプル調整を行った。これらの形態およびDNAバーコードによる同定を進めているところである。現在までのところ、植物寄生性線虫であるLongidorus属、Helicotylenchus属、植物寄生性または菌食性線虫であるTylenchidae科、雑食性線虫であるQudsianematidae科、細菌食性線虫であるCephalobidae科などに属する線虫が分離されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロットからの土壌採集および線虫サンプル調整が完了したことから、おおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、形態的観察とDNAバーコードによるタイピングによって、分離された線虫の同定を完了する。 得られたデータから、森林地下部の生物多様性指標としての土壌線虫の有効性を検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究室のシークエンサーの更新が行われたこともあり、本年度予定していたDNA解析の一部を次年度に行うことにした。その分の「物品費」と「謝金」を次年度使用額とした。
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