樹木細胞壁におけるリグニンの形と分布をナノレベルで知るために、リグニンとπ-π相互作用を持つことが期待される化合物を結合させた探針を用いて、樹木細胞壁の原子間力顕微鏡観察を行うことを試みた。テトラシアノエチレンは、リグニン芳香核との間にきわめて強い相互作用を有することを見出した。しかし、これを探針に結合させた原子間力顕微鏡観察では、解析可能な画像を今のところ得ることはできていない。探針へのこの化合物の結合法、結合量などにコントロールすべき要素があるものと考えている。本法の比較対象手法として開発した近接場赤外分光光度法による細胞壁観察では、生体試料への適用に成功するなど成果を得ることができた。
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